書類をにらみつけているスーツ姿の中年男性

転勤は短期間で引っ越しや諸手続きが必要となることも多く、慌ただしく煩わしいものです。

しかしながら、転勤を拒否できるケースは限られています。

もし転勤を拒否すると懲戒処分を受けるおそれがあり、最悪は懲戒解雇となる可能性もありますから、ぜひとも避けたいものです。

ここでは転勤を拒否することによる処分をどのように回避するか、詳しく解説します。

転勤を拒否することは基本的にできない

ショックで顔を抱えている女性

残念ながら、従業員は転勤を拒否できないことが多いです。

それどころか転勤を拒否した場合は、就業規則違反として懲戒処分を受けるおそれもあります。

この点について解説していきましょう。

会社の権利として認められている

日本では解雇するための条件が厳しい代わりに、転勤や異動などの人事権を広く会社に認めています。

就業規則に転勤があるという記載があれば、勤務地限定社員など別途の取り決めが無い限り、会社は業務上の必要性に応じて従業員を転勤させる権利があります。

その場合、あなたは会社の命によって転勤する義務があります。

懲戒解雇や降格など処分を受けることも

特別な事情が無い限り、転勤を拒否することは就業規則違反となります。

このため、懲戒解雇や停職、降格などの懲戒処分を受けることもあります。

その一方、自己都合退職を促される場合もあるでしょう。

転勤の拒否が認められる主な理由

険しい顔でパソコンを見つめる男性

転勤は業務上の必要性がある限り行えるといえども、いかなる場合でも転勤命令に応じなければならないという訳ではありません。

たとえば、以下いずれかの理由があれば、転勤を拒否することができるでしょう。

  • 家族に要介護者や障害者がおり、従業員が介護をしている
  • 家族に重い病気を患っている人がいる
  • 勤務地を限定する社員として採用された

このうち家庭事情によって転勤を拒否する場合は、転勤によって家庭生活が破たんするおそれがある等、特別な理由が必要です。

従って勤務地を限定しない社員として採用された場合、以下のような理由の場合は転勤命令に従わなければなりません。

  • 子どもの幼稚園への送迎ができない
  • 一戸建てやマンションを購入したばかり
  • 子どもの転校を避けたい

一方、勤務地を限定する社員として採用された場合は、家族事情に関わらず転居を伴う転勤は拒否できるでしょう。

そもそも勤務地を限定する代わりに、勤務地を限定しない社員と比べて不利益を受けることを承知で入社した訳です。

そのため、契約内容に反する転勤命令に応じる必要はありません。

転勤を拒否した場合に下される処分の例

オフィスのデスクでショックを受けている男性

転勤を拒否した場合の裁判例は調べてみると色々と見つかります。

裁判になっていない事例も含めると、相当数にのぼるのではないでしょうか。

ここでは代表的な事例を紹介していきます。

転勤命令及び懲戒処分が有効とされた事例

転勤命令及び懲戒処分が有効とされた事例として、東亜ペイント事件(最高裁第二小法廷 昭和61年7月14日判決)があります。

この事件の概要は、以下の通りです。

  • 就業規則には「業務の都合により異動を命ずることがあり、社員は正当な理由なしに拒否できない。」と定められており、実際に転勤が頻繁に行われていた。
  • 勤務地を限定しない社員として雇用された者に対し、転居を伴う転勤を内示したが、社員はこれを拒否した。
  • 該当社員に対し、改めて大阪から名古屋営業所への転勤を内示したが、社員はこれを拒否した。
  • 会社は該当社員に対する名古屋営業所への転勤を命じたが、社員はこれも拒否した。
  • 会社は就業規則上の懲戒事由に該当するとして、該当社員を懲戒解雇とした。

この判決は、転勤命令の妥当性を判断する基準を示したものとされています。

以下の条件の下では、会社は社員の同意なく転勤をさせることができます。

  • 労働協約及び就業規則に転勤を命ずることができる旨の定めがあること
  • 実際に転勤が頻繁に行われていること
  • 入社時に勤務地を限定する旨の合意がないこと

但し、転勤命令は業務上の必要性があること、つまり企業の合理的運営に寄与する点があることが条件となります。

その場合、従業員は特別な事情が無い限り、転勤に応じなければなりません。

転勤命令が無効とされた事例

一方、転勤命令が無効とされた事例として、ネスレ日本事件(大阪高裁平成18年4月14日判決)があります。

  • 工場での一部部門廃止のため、会社は該当部門の従業員に対し、遠隔地の工場へ転勤するか、退職金を受領して退職するかのどちらかを選ぶように通知した。
  • 就業規則には「業務上の必要に応じ、従業員に異動を命ずる」と定められている。
  • 従業員のなかには、家族が要介護2に該当する者がいたため、その従業員は会社に対し同じ工場で働きたい旨書面を提出した。
  • 会社は該当従業員に対し、遠隔地の工場へ異動するよう回答書を送付した。

裁判では従業員から要介護者がいるという申告を受けたにも関わらず、会社はその実情を調査しないまま転勤命令を維持したことが問題となりました。

そして要介護2の状況は転勤に応じなくて良い特別な理由に該当するとされ、転勤命令は無効とされました。

転勤したくない場合は極力話し合いで解決を

女性上司と会話中の中年男性

転勤したくない場合は、できれば会社から異動の内示が出る前に上司と話をしておき、異動の候補者から外してもらうようにすると良いでしょう。

会社は従業員から転勤できない理由を申告された場合は、その事実について調査し、真摯に対応しなければなりません。

これを怠り漫然と転勤命令に従うよう求め続けた場合、その転勤命令は会社による配転命令権の濫用にあたり、無効となる場合もあります。

申告した結果、転勤の内示が撤回されたり、異動の候補者から外されるということもあり得るでしょう。

その逆に、会社から転勤に伴う負担軽減措置の説明があるかもしれません。

いずれにしても、よく上司と話し合いをすることが大切です。

また会社から転勤できない理由を証明する資料を提出するよう求められる場合もあります。

この際は、迅速に対応するようにしましょう。

どうしても転勤したくない場合は転職も検討を

電車でスマホをチェックしている男性

転勤したくないということは、今の職場で働き続けたいということですから、その会社で働くのが嫌ということとは異なります。

そのため、あらかじめ上司とよく話し合い、転勤をしなくて済むように努めましょう。

しかし、どうしても転勤の辞令が出てしまうことがあります。

特に、転居を伴う異動の場合、家庭事情によっては深刻な事態になる場合もあります。

そのため、どうしても転勤したくない場合は辞職し、新しい会社への転職を検討することも1つの選択肢です。

仕事において何を優先するかは人それぞれですから、将来のキャリアプランをきちんと考えて、後悔のない選択をしましょう。

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