「もうすぐ最終出勤日だけど、挨拶で何を話せばいいだろう・・・」
「お世話になった取引先の担当者にはどうやって挨拶しよう・・・」
退職日を迎えるとき、お世話になった人へ挨拶するのは社会人としての常識。
とはいえ、何を話せばいいのかと迷ってしまう方も少なくありません。
最後の最後に失敗して、印象を悪くするのは誰だって避けたいですよね。
このページでは、退職時の挨拶で使える定番スピーチとメールテンプレートについて詳しくまとめました。
近いうちに退職を予定している方は、気持ちよく会社を去れるように社会人として知っておくべき基礎知識をチェックしておきましょう。
退職時の挨拶で知っておくべき基礎知識
退職時の挨拶で何を話すか、ある程度考えはまとまっていますか?
「今までお世話になりましたって、上司や同僚にお礼を伝えればいいんでしょ?」
という意見は間違いではありませんが、100点満点ともいえません。
気持ちよく退職できれば、会社を離れた後も良好な関係性が続いたりメリットが盛りだくさん。
具体的なスピーチ内容やメール文面に入る前に、まずは最低限知っておきたいポイントを見ていきましょう。
「そんなのはどうでもいいから、早くテンプレートを見たい!」
というせっかちな方は、こちらからご覧ください。
挨拶に含めるべき基本の3点
「退職時の挨拶は、○○について絶対に話さないといけない!」
という明確なルールはありません。
ポイントは、退職後も良好な関係を築けるように無難な内容でまとめること。
定番とされる内容は以下の3つです。
- いつ退職するか
- お世話になったお礼
- 退職する理由
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
いつ退職するか
まずはいつ退職するかをはっきりと伝えましょう。
退職時の挨拶は最終出勤日にすることが一般的ですが、タイミングよく会えない人がいると前もって挨拶をすることもあります。
また、直属の上司や同じ部署のメンバーはあなたの最終出勤日を把握していたとしても、別の部署の人達まで伝わっていないこともあります。
「本日が最終出勤で○日付けで退職となります」
と、何日付けで辞めるのかをきちんと伝えましょう。
お世話になったお礼
今までお世話になった上司や同僚、部下に対し感謝の気持ちも忘れてはいけません。
本当は上司のことが嫌いだったり、ツラい思いをさせられた会社だったとしても、お礼を伝えるのは社会人としてのマナー。
最後に「会社の発展と皆さんの活躍を祈っています」と添えるとベスト。
本心では「こんな会社早くつぶれてしまえばいいのに」と思っていても、そこは大人ですから、本音と建前をうまく使い分けましょう。
挨拶を聞いている側だってバカじゃありませんから、大人の事情を理解して聞いてくれるものです。
退職する理由
最後にもうひとつ、なぜ退職するのかも簡潔に話しましょう。
「家庭の事情で遠方に行くことになった」
「ご縁があって別の会社で働くことになった」
など、当たり障りのない表現を工夫しましょう。
言いづらい理由の場合は「-身上の都合で」と伝えれば大丈夫です。
「こんな安月給の会社で働いていても未来がないので」
「上司が人として最低・最悪だったので」
といったネガティブな理由を暴露するのは絶対に避けてください。
場が白けますし、誰ひとり幸せになりません。
スムーズに退職するためにも、表と裏の顔をうまく使い分けるのが大人ですよ。
1〜2分で簡潔にハキハキと話す
たまにありがちなのが、お世話になったお礼を伝えようと延々と話し続けること。
入社当時から面倒を見てくれた上司なら、目に涙を浮かべながら真剣に話を聞いてくれるかもしれません。
ただ、その他大多数の同僚からすると、単なる迷惑行為でしかありません。
「(忙しいから早く仕事に戻りたいんだけど・・・)」
「(ヘトヘトに疲れたから今日はもう帰りたい・・・)」
とあなたの話を聞いているふりをしながら、他のことで頭がいっぱいになっていることも。
どれだけ熱い想いを胸に秘めていても、1〜2分で簡潔にハキハキと話しましょう。
お世話になった人には個別に挨拶
退職日が繁忙期と重なると、会社全体がバタついていることも多いですよね。
タイミングが合わずに全体の場で挨拶できないときは、お世話になった人を中心に個別に挨拶しましょう。
個別に挨拶をするときは、役職が上の方から順に声をかけて回るのがマナーです。
全体の場で話すときと同じように、あまりダラダラと話すのは相手に失礼。
どんなときも相手は忙しいという前提を忘れてはいけません。
今までお世話になった感謝の気持ちを簡潔に伝えましょう。
直接会えないときはメールを送る
大きな会社で働いている方はとくに、お世話になった人全員に直接挨拶することは難しいでしょう。
取引先の担当者も、あまりに数が多いと1社1社訪問してられません。
1〜2回しか顔を合わせておらず、そこまで関係が深くない取引相手だと、なおさら直接挨拶に行くのは気が引けますよね。
直接会いに行くことが難しければ、メールで退職の挨拶を済ませてしまいましょう。
「メールだけで挨拶を済ませるのは失礼にあたるのでは・・・?」
と心配する人もいますが、気にする必要はありません。
ただし、文面や送るタイミングなど、いくつか注意点があるのは事実。
基本的なマナーをしっかりとおさえて、失礼のないように送りましょう。
メールを送るべきタイミング
メールで退職の挨拶を送るときは、相手に合わせて送るべきタイミングを変えましょう。
社内の上司や同僚へ送るなら、最終出社日に送ることが一般的。
送る時間にはっきりとしたルールはありませんが、定時を過ぎてから送るのがマナーとされています。
日中に送ってしまうと、仕事の邪魔をしてしまう可能性があるためです。
取引先をはじめ、社外へ退職の挨拶を送るときは、なるべく早く送ることをおすすめします。
仕事の引き継ぎを行う必要もあるため、退職日の2~3週間前には伝えられるとベストです。
退職日の当日や直前に連絡すると、会社自体の評判を下げてしまう可能性もあるので注意しましょう。
わかりやすい件名で個別に送信
退職の挨拶メールに限りませんが、ビジネスメールは件名だけで要件が伝わるようにしましょう。
「誰から」「どのような要件で」送られたメールなのか、ひと目で分かるようにすることが大切です。
たとえば「退職のご挨拶 営業課 山田より」といった件名だとわかりやすいですね。
また、メールで挨拶するときは個別に送れるとベストです。
とくにお世話になった相手には感謝の気持ちをしっかりと伝えましょう。
とはいえ、何十人も個別にメールを送っていたら、メール対応だけで1日つぶれてしまいます。
送付先が多いときは、BCCを活用して一斉送信で送りましょう。
直筆の手紙は気持ちが伝わりやすい
「退職の挨拶がメールだと味気ないかも・・・」
と感じるなら、手書きの手紙を送ってみましょう。
1枚ずつ書き上げるのは大変ですが、とくに感謝の気持ちを伝えたい相手には効果的ですよ。
「○○さんとは退職後も関係を続けたい」
「○○部長には本当にお世話になったから」
という特別な相手には、手書きで挨拶を送ることも考えてみてください。
ただし、あまりに字が汚いと印象を悪くする恐れもあるため、万人におすすめはしません。
退職時の挨拶で使える定番スピーチ例
「ポイントは理解できたけど、実際に話そうとすると言葉が出てこない・・・」
と悩む人も多いですね。
ここからは退職時の挨拶で使える定番スピーチ内容について、いくつか具体例をご紹介します。
いずれも無難な内容でまとめていますので、都度アレンジを加えながら話してみてください。
あらゆる状況で使える汎用例
貴重な時間をいただき、ありがとうございます。一身上の都合により、本日付けで退職することになりました。
入社したばかりの頃は皆さんに迷惑をかけることも多かったですが、尊敬できる方に囲まれて、とても充実した3年間を送ることができました。
この会社で学ばせていただいたことは私の財産です。職場が変わっても皆様に恩返しができるよう、さらに精進して参ります。
これからも皆様のご活躍を願っています。本当にありがとうございました。
退職理由、いつ退職するか、お世話になったお礼の基本ポイントをふまえたスピーチです。
「精進して参ります」というセリフが言いづらければ、「頑張ります」で問題ありません。
個別の挨拶で使える基本パターン
お忙しい中すみません、一身上の都合により、本日が最終出勤日となりました。
○○さんには入社時からお世話になりっぱなしで、感謝してもしきれません。
とくに2年前、2人で○○を担当したときはミスで落ち込んでいた私を励ましてくださって、本当にありがとうございました。
○○さんから教わったことは私にとっての財産そのものですので、新しい職場でも活躍できるように精進して参ります。
お時間が合いましたら、ぜひまた飲みに行きましょう。
これからも○○さんのご活躍を願っています。今まで本当にありがとうございました。
個別に挨拶するときは、具体的な思い出やエピソードを含められるといいですね。
そこまで深い仲でなかったなら、ムリに飲みに誘う必要はありません。
結婚や出産で寿退社する場合
挨拶の場を設けていただき、ありがとうございます。
旦那の転勤に伴い、○○へ引っ越すことになったため、本日付で退職をさせていただくことになりました。
皆様と一緒に仕事ができたことは、私にとってかけがえのない時間でした。
ここで学ばせていただいたことを忘れず、新しい場所でも精進してまいります。
これからも皆様のご活躍を願っています。本当にありがとうございました。
今の時代、寿退社できる人は少数派ですから、幸せオーラ全開な挨拶だと妬まれるリスクがあります。
角が立たないように、控えめにかつ淡々と挨拶を済ませましょう。
有給消化を経て退職する場合
お忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
家庭の都合により、○月末で退職することになりまして、本日が最終出勤日です。
入社時は右も左もわからなかった私ですが、根気強くご指導いただき、本当に感謝しております。
少しは貢献できていたなら幸いです。
明日から2週間ほど有給消化に入らせていただきまして、せっかくの機会なので海外で羽根を伸ばしてくる予定です。
これからも会社の発展と皆さんの活躍を願っています。ありがとうございました。
有給消化に入る場合、音信不通になると匂わせておくことをおすすめします。
引き継ぎの件で上司から何度も連絡が来たり、中には出社を求めてくる非常識な会社もありますよ。
相手別の退職挨拶メールテンプレート
続いてメールで退職の挨拶を送るときのテンプレートも見ていきましょう。
基本的には、スピーチ内容をそのまま文書に落とし込めば完成です。
ただし、スピーチなら多少キワドイことを話しても笑い話で済ませられますが、メールは記録として残ります。
セキュリティ管理が徹底している会社だと、すべてのメールを情報システム担当が検閲していることも。
誰だって円満に退職できるのがベストですから、くれぐれも上司の悪口や会社のことを悪く書くことは避けましょう。
社内の同僚へ送る場合
件名:
退職のご報告【営業部 山田太郎】
本文:
お世話になった皆様へ
営業部の山田です。
本来なら直接ご挨拶に伺うべきですが、メールにて失礼します。
私事で恐縮ですが、一身上の都合により○月○日付けで
退職することになりました。
入社時より皆様には大変お世話になりまして、
感謝してもしきれません。
末筆ながら、皆様のご活躍を願っております。
本当にありがとうございました。
スピーチと同じように、退職理由、いつ退職するか、お世話になったお礼をすべて網羅した内容です。
「本当は直接挨拶したかったけど、メールでごめんね」
という姿勢を見せておくのがポイント。
特別な相手でなければ、部署名や名前を変えて、このまま送ってしまいましょう。
お世話になった上司へ送る場合
件名:
退職のご挨拶【営業部 山田太郎】
本文:
鈴木部長
お疲れ様です、営業部の山田です。
私事で恐縮ですが、家庭の都合により○月○日付けで
退職することになりました。
本来なら直接ご挨拶に伺うべきですが、メールにて失礼いたします。
鈴木部長には新入社員の頃からお世話になりまして、
迷惑をかけてしまうことも多かったかと存じますが、
たくさんのことを学ばせていただき感謝しております。
なかなか結果を出せなかった私に対して、根気強く向き合って
くださったこと、絶対に忘れません。
鈴木部長から教わったことは私の財産です。
新しい職場でも活躍できるように、精進して参ります。
鈴木部長のさらなるご活躍を願っております。
本当にありがとうございました。
すでに口頭で挨拶を済ませていたとしても、改めてメールを送ると、より丁寧な印象を与えられますよ。
信頼していた上司ならなおさら、退職後も良好な関係を築けるように最後まで丁寧な対応を心がけましょう。
嫌いだった上司へ送るときは、先ほどの汎用テンプレートを使っておけば問題ありません。
取引先や社外へ送る場合
件名:
退職のご挨拶【○○株式会社 山田】
本文:
株式会社○○
佐藤様
いつもお世話になっております。
○○株式会社の山田でございます。
私事で大変恐縮ですが、一身上の都合により○月○日をもって
退社することになりました。
本来なら直接ご挨拶に伺うべきですが、
メールでのご挨拶になったことをお詫び申し上げます。
今後は営業部の高橋が貴社を担当させていただきます。
改めて近日中に高橋よりご連絡差し上げますので、
今後とも宜しくお願いいたします。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と佐藤様のご活躍を
心よりお祈り申し上げます。
取引先をはじめ、社外に退職の挨拶メールを送るときに忘れてはいけないのが退職日。
いつから担当者が変更になるのか、後任者や引き継ぎについて不安を与えないようにしましょう。
また、あくまで会社を通した仕事の関係ですから、プライベートの連絡先などを書くのはマナー違反ですよ。
最終出社日に挨拶以外ですべきこと
「一通り挨拶も終わったし、これで無事に退職できる!」
と安心するのはまだ早いです。
最終出勤日は挨拶以外にもやるべきことが盛りだくさん。
やり忘れたことがないように、最後にもう一度おさらいしておきましょう。
自分のデスク周りの整理整頓
まずは自分のデスクまわりを整理整頓しておきましょう。
明日から別の社員が使うかもしれませんし、契約書や納品書など、重要な書類は適切に引き継ぎを済ませておく必要があります。
不要な書類は退職前にシュレッダーにかけるなど、きちんと処分しておくことが社会人としてのマナー。
とくに会社に持ってきていた私物は、持って帰るか事前に処分しておきましょう。
中途半端に私物が残っていると、捨てていいのか判断に迷ってしまいます。
健康保険証や社用携帯の返却
会社から借りていたものも、忘れずに返却しましょう。
健康保険証をはじめ、社員証や定期券を支給されていることもあるでしょう。
社用携帯や制服を借りている場合も、すべて返却が必要です。
万が一返却し忘れたものがあると、後日持ってくるように連絡が来てしまいます。
郵送や宅急便で送れるものだとしても、手間がかかるのは避けたいですよね。
引き継ぎに抜け漏れがないように
もっとも大切なことは、業務の引継ぎです。
退職が決まった段階から徐々に引き継ぎを進めていくことが一般的ですが、退職日は引継ぎの最終チェックを行いましょう。
きちんと引き継ぎができていないと、会社に大きな迷惑をかけてしまうことも。
「辞める会社のことなんて、どうなっても知らない!」
という気持ちも理解できますが、後々厄介なことに巻き込まれて面倒くさい思いをするのはあなたです。
余計なトラブルに巻き込まれないためにも、計画的に引き継ぎを済ませておきましょう。
菓子折りを用意できると印象良し
最後にもうひとつ、最終出社日にちょっとした菓子折りを持参できると印象が一層よくなりますよ。
とくに決まったルールはありませんし、必ず渡さないといけないものでもありません。
あくまで気持ちの問題です。
「今までお世話になった上司や同僚に、少しでも感謝の気持ちを伝えたい!」
と本気で思えるなら、百貨店などで3,000円程度の焼き菓子などを探してみましょう。
どんなお菓子を買えばいいのか迷ったときは、以下の記事も参考にしてみてください。
失礼のない挨拶で円満退職を目指そう
「終わりよければすべてよし」
という言葉があるように、退職時の挨拶がきちんとできるかどうかで、あなたへの印象は大きく変わるものです。
最後の挨拶がグダグダになったり、笑いを取ろうとしてスベってしまうと、誰よりもあなた自身がモヤモヤした状態で退職することになってしまいます。
「人前で話すことが苦手・・・」
という方も、基本のポイントをおさえておけば少なくとも大きな失敗は避けられますよ。
失礼のないようにスピーチ内容を前もって考えておいて、感謝の気持ちが伝わる挨拶を目指しましょう。