一般的に転職回数が増えるほど、転職の難易度は上がると言われています。
では転職回数が10回以上もあると、どうなるでしょうか。
正直に申し上げると、まともな会社に正社員として採用されることは、ほぼ無いと思った方がいいです。
私が面接官をしていたとき、たとえば20代で転職回数が3回以上だと慎重に判断するようにしていました。
1社ごとの在籍期間や選んでいる仕事内容など、職務経歴次第では書類選考段階で不合格と判断したこともあります。
30代なら4回以上、40代なら5回以上と、年齢によって判断基準は異なりますが、転職回数が多い人ほど内定に辿り着くのが困難になります。
正社員での採用となるとなおさらです。
では転職回数が10回以上もある場合、正社員で採用されることは諦めるべきなのでしょうか。
簡単な道ではありませんが、可能性はゼロではありません。
企業は長く働いてくれる人を採用したい
そもそもの話からですが、中途採用で正社員を採用する場合、どのような会社でも基本的には長く働いてほしいと考えています。
そこに転職回数10回以上の人が面接に来たとすると、どれだけ偏差値の高い大学を出ていようとも、TOEICの点数が満点だろうとも、素晴らしいスキルを持っていたとしても、採用した後のリスクを考えてしまうのです。
採用担当にとって一番の痛手となるのは、予算と手間をかけてせっかく採用した人に入社後すぐ辞められることです。
上司からも叱られますし、場合によっては自分の評価、昇進にも影響します。
だからこそリスクが高い人は採用したがらないのです。
疑わしきは落とす、が面接の鉄則なのです。
海外は転職回数を気にしない傾向
海外では何回転職していようとも気にしないことが多いですね。
アメリカなどでは基本的に「転職=キャリアアップ」と考えているので、転職を繰り返している人は、それだけ優秀な人材と見られます。
日本国内でも外資系企業に勤めているような人の中には、30代で転職回数が5回以上という人も稀にいたりしますね。
より条件のいい会社へ転職したり、ヘッドハンティング会社から声がかかったり。
ところが外資系ではない国内企業の多くは、「転職回数が多い=長く勤務することができない、すぐに辞める人」と考えています。
転職理由が何であろうとも、書類選考段階で落としてしまうこともしばしば。
転職エージェントもお手上げ状態
転職活動中に転職エージェントを利用される人も多いと思います。
自分のスキルや経歴に合わせて求人を紹介してくれたり、転職の相談に乗ってくれたり、いいことづくめの転職エージェント。
ただ転職回数が10回を超えた方だと、さすがの転職エージェントでもお手上げ状態です。
キャリアアドバイザーに相談しようと思っても、面談すら断られることもあると思います。
面談まで辿りつけたとしても、「ご紹介できる求人が見つかり次第ご連絡差し上げます。」と伝えられたまま、音信不通になる可能性が高いです。
転職エージェントは、転職する人にとっては無料で利用できる便利なサービスですが、採用する側の企業にとっては決して安くない紹介料を支払うことになる割高なサービスです。
転職エージェントに支払う紹介料は1人あたり90万円以上が一般的。
約100万円もかけて転職回数10回以上の人を採用する企業があるでしょうか。
日本中を探しても、なかなか見つけられないと思います。
気になる企業へ直接連絡を取ってみる
「転職エージェントを利用してまで採用してくれる会社は無い」と書きましたが、これはつまり「お金をかけてまで採用したくない」という意味でもあるわけです。
であれば、費用がかからない形なら採用してくれる可能性は数%上がるかもしれません。
つまり何をすればいいのかというと、気になる企業に直接連絡を取ってみる、というやり方です。
転職エージェントや転職サイトを使わず、企業のホームページに掲載されている連絡先に直接連絡してみるのです。
多くの企業は自社サイトに「採用情報」や「お問い合わせ」の画面を設置しています。
採用担当宛のメールアドレスに履歴書や職務経歴書を送ってみたり、直接電話して採用担当に変わってもらったり。
自分で直接連絡することは少し勇気がいるかもしれませんが、そんな甘ったれたことを言ってられる状況ではありません。
ホームページから直接連絡してきた人であれば、採用費は一切かかりません。
転職エージェントや転職サイト経由だと、書類選考段階で不合格とされる経歴でも、直接応募の場合は面接まで辿りつけるときもあります。
連絡しても無視をされたり、邪険に扱われることもあるかもしれませんが、細かいことは気にせず数をこなすことを意識しましょう。
どこかの企業が興味を持って、面接の時間を作ってくれるかもしれません。
正社員にこだわらないなら仕事はある
「とにもかくにもお金を稼がないと生きていけない!」ということであれば、派遣社員やアルバイトでまずは仕事を探してみてください。
正社員としての採用にこだわるのであれば、アルバイトを続けながら転職活動を進めるのがベストです。
転職回数が10回以上もあると、転職活動が半年以上長引くことも覚悟しなくてはいけません。
日々の生活費は派遣の仕事やアルバイト、パートで稼ぎつつ、気になる企業への応募を続けていく。
大手有名企業や、給料も高くて残業もほとんどないような優良人気企業へ採用されることは、正直難しいと思いますが、コツコツと努力を続けていけば正社員として採用してくれる企業に出会えるかもしれません。
ブラック企業には気を付けて
転職回数なんて一切気にしません!という企業も稀にあります。
そのときに気を付けたいのがブラック企業と知らずに入社してしまうこと。
朝から晩まで個人宅を訪問しては教育教材や羽毛布団、消火器を売りつけるような仕事だったり、一日中電話をかけまくって金融商材を売ろうとしたり。
20代半ばの若いスタッフにどなりつけられ、ときには殴られることもあったり。
目標を達成していないからと、夜中まで会社に残って作業をさせられたり、残業代は1円たりとも支払われなかったり…
正社員で採用はされたものの、職場環境がクソな会社では転職回数をさらに増やすだけになってしまいます。
正社員で採用されることにこだわるとしても、ブラック企業には入社してしまわないように気を付けてください。
転職回数10回以上で正社員採用はイバラの道
いかがでしたでしょうか。転職回数が10回を超えると、転職活動はイバラの道です。
とはいえ転職回数が10回を超える人は、なかなかたくさんはいないと思います。
私自身、今まで中途採用の書類選考で数百名のレジュメを見てきましたが、転職回数10回以上の応募者は見たことがありません。
もちろん国内中を探せば、どこかにはいるのでしょうけど、転職回数が10回を超える前に何らかの手を打ちたいですね…
そして仕事探しで行き詰った時には、まずはハローワークです。
お住まいの地域を管轄しているハローワークに足を運んで、転職回数が多くても面接してくれる会社を探してもらいましょう。
あなたの仕事探しがうまくいくことを願っています。