契約社員として働いている方が会社を辞めようとするとき、正社員の退職とは勝手が異なることをご存知でしょうか。
基本的な知識を身につけておかないと、会社とトラブルになってしまいかねません。
では、どのような点に気をつければいいのでしょうか。
そこで今回は、契約社員のための退職の基礎知識について詳しくご説明します。
近いうちに退職を考えている契約社員の方は、ぜひ参考にしてみてください。
契約社員と正社員の退職の違い
契約社員として働いている方が、正社員と同じ感覚で退職を考えてしまうのは危険です。
そもそも契約社員と正社員では、雇用形態が違いますよね。
具体的にどのような違いがあるのか、改めておさらいをしておきましょう。
契約社員
まず契約社員とは、会社の定める契約にしたがって働く従業員のことを指します。
半年や1年など、雇用期間に定めのある有期雇用であることがほとんど。
時期によって売上が大きく変動するような企業の場合、一時的な人手不足を補うために契約社員として雇用することも多いです。
企業によって名称が異なることもあり、期間契約社員や期間従業員、臨時社員、準社員などと呼ばれることもあります。
正社員
一方、正社員は雇用期間が定められていない無期雇用です。
会社の業績が急激に悪化したり、大きな問題を起こしたりしない限り、仕事を失う心配はありません。
働く期間が定められていないからこそ、ルールに則って手続きを進めればいつでも退職することができます。
一昔前までは正社員=終身雇用というイメージを強く持たれていましたが、今は転職も当たり前の時代になりました。
契約社員は契約中に退職できない
契約社員として働いている場合、半年や1年といった期間で会社と労働契約を結んでいることになります。
そのため、基本的に契約期間が終了する前に会社を辞めることはできないのです。
雇用期間中に退職できないということは、契約途中で会社側が退職させることもできないということです。
とはいえ、どうしても仕事を離れないといけない事情ができてしまった…という場合もあります。
どうしても辞めざるを得ない理由ができた場合のみ、雇用契約を解除できます。
契約途中で退職できるケース
では、どのような理由であれば契約社員は契約途中でも会社を辞められるのでしょうか。
主な理由としては、会社の労働問題や家庭の事情が挙げられます。
パワハラやセクハラ、無賃金労働を無理やりさせられている場合などは労働問題として認められます。
家族の転勤や、親の介護が必要になり、勤務できなくなった場合も契約解除の理由となります。
しかしながら、契約解除できるのは会社から同意をもらえた場合のみです。
注意すべき点として、転職は止むを得ない理由に含まれないということ。
「条件の良い会社に転職したいので、契約途中ですが辞めさせてください!」といった理由は、一般的に認められません。
正当な理由がなく、同意も得られていない状態で強引に退職しようものなら、損害賠償を請求される可能性もあります。
契約途中の退職については会社ごとの判断に委ねられるところも大きいため、まずは直属の上司に相談してみることをおすすめします。
契約社員がスムーズに退職する方法
契約社員として働いている方が、スムーズに退職するためにはどうすればいいのでしょうか。
理想とされる方法は主に2つです。
契約期間を満了すること
当然のことながら、契約した雇用期間が終了すると自動的に契約は解除されます。
会社側から契約更新の話がなければ、雇用関係は終了です。
契約社員の場合、退職届けを提出する必要も基本的にはありません。
ただし会社によっては提出を求められるケースもあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
契約を更新しないこと
契約更新をしなければ、契約期間を終えたのと同じ扱いになります。
会社から引き続き働いてほしいと要望があったとしても、契約を更新するかどうかはあなた自信が決められます。
契約を更新する意思がない場合、遅くとも契約満了の1ヶ月前までには上司に退職したい旨を伝えておきましょう。
退職の意思を伝えるタイミングは、契約内容に明記されていたり、会社によって明確に定められていることがあります。
契約満了の時期が迫ってきたら、早めにチェックしておくことをおすすめします。
契約社員で退職する際の注意事項
ほかにも契約社員として働いていた方が会社を離れる場合、あらかじめ知っておくべき注意点があります。
トラブルにならないためにも、前もって基本的な知識を身に着けておきましょう。
退職金はもらえない
まず、基本的に契約社員は退職金をもらうことができません。
満了金が支給されることはありますが、支払いは義務ではないですし、会社によって対応は様々です。
運良く支払われるとしても、あまり期待はしないようにしておきましょう。
そもそも退職金を支払わなければならない、という法律はないのです。
- 退職金は、必ず支給しなければならない賃金ではない。
- 労働基準法(第89条)では、退職金の定めをする場合には就業規則に記載しなければならないと定めているのみ。
- 法律的には、会社の言い分どおり規定が無ければ退職金を貰えなくてもやむを得ない。
退職金や満了金を支払うかどうかは、会社の独自の判断によるもの。
契約内容をきちんと確認しておくようにしましょう。
失業手当の給付制限の有無
契約満了で退職した後に、ハローワークで失業手当を申請しようと考える方も多いです。
まず、失業手当を申請するためには以下2つの条件を満たしている必要があります。
- 雇用保険に加入していたこと
- 通算で12ヶ月以上、雇用保険の被保険者だったこと
半年の契約期間で会社を辞めた場合や、今まで雇用保険に入っていなかった場合、失業手当はもらえないということになります。
また、契約社員としての勤務期間が3年未満で、通算で12ヶ月以上雇用保険に加入していれば、退職後に給付制限なしで失業手当を受け取ることができます。
ただし、3年以上契約社員として勤務していた場合、自己都合退職でも3ヶ月の給付制限がつきます。
給付制限の有無は生活に大きな影響を与えるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
収入が途絶えた状態で転職活動を続けるのは、精神的にも大きな負担がかかりますよ。
契約社員もトラブルなく円満に退職を
契約社員として働いていると、正社員のように自由なタイミングで会社を辞めることができません。
強引に退職しようとするとトラブルに発展する可能性もあるため、あらかじめ退職に関する基本的な知識を身に着けておくことをおすすめします。
誰だって円満に退職できるのが一番ですから、スムーズに退職手続きを進めていきましょう。