あなたは自分のもらっている給料を時給換算で考えたことはありますか?
社会人の給料といっても、受け取る金額は業界や会社、年齢や役職などによってさまざま。
毎年たっぷりと納税しているような人もいれば、同世代の平均年収に届かない人もいます。
そして、時給換算すると最低賃金を下回っていた・・・という悲惨な例も。
このページでは、給料を時給換算するための計算方法をはじめ、他と比べて低すぎないかをチェックするためのコツをご紹介します。
今の給料に少しでも不満を感じている方は、ぜひチェックしてみてください。
月給を時給換算するといくらになるか
あなたの給料は果たして高いのか、それとも安いのか。
手っ取り早く確認するなら、時給に換算してみることをおすすめします。
「額面給与を労働日数×労働時間で割ればいいんでしょ?」
頭の回転が早い方なら、すぐに計算式が浮かぶことでしょう。
ただ、いくつか注意すべき点がありますので、詳しく解説していきます。
時給換算するための計算方法
まず給料を時給換算するためには、以下の情報が必要です。
- 月給の金額(月によって金額が変動する場合は、年間の合計額)
- 時給換算から除外される手当の額
- 年間の所定労働日数
- 1日の所定労働時間
時給を計算するには、まず年間の給与額から除外される手当の金額(年間の合計額)を差し引く必要があります。
算出された額を年間の所定労働日数で割り、さらに1日の所定労働時間で割ると時給が算出できます。
時給換算にあたって除外される手当
月給を時給に換算する場合、原則として基本給と各種手当は含めます。
ただし、以下の手当は除きます。
- 精勤手当や皆勤手当
- 家族手当
- 通勤手当
- 時間外勤務手当
- 休日出勤手当
- 深夜勤務手当
従って時間外や休日出勤した際の割増賃金は、時給を計算する際には反映しないのが一般的です。
時給換算して最低賃金より低いと違法
あなたの住んでいる地域の最低賃金は把握していますか?
ご存知の通り、法令に基づいて最低賃金は毎年定められています。
最低賃金制度とは
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
引用元:厚生労働省 最低賃金制度の概要
当然のことながら、最低賃金を下回る金額で労働者を働かせた場合は違法です。
そもそも、最低賃金は一般的にアルバイトやパートに適用されることがほとんど。
正社員として働いているのに、時給が最低賃金を下回るかも・・・なんてやる気が削がれてしまいますよね。
都道府県ごとに最低賃金は異なる
最低賃金は毎年改定されており、近年では毎年20円を超える上昇を見せています。
改定後の最低賃金は、おおむね毎年10月1日から適用される場合が多いですね。
この最低賃金は都道府県ごとに異なり、なかでも東京都や神奈川県は時給1,000円に近付いています。
また最低賃金は労働者の居住地に関係なく、職場がどの都道府県にあるかで決まります。
たとえば千葉県に住んでいて東京都で勤務している場合、東京都の最低賃金が適用される点に注意してください。
最新の最低賃金は以下リンク先よりご確認いただけます。
最低賃金法違反は労働局にチェックされやすい
最低賃金法に違反すると、どのような罰則を受けるかは知っていますか?
最高だと、罰金50万円の罰則が用意されています。
さらに悪質な場合は厚生労働省の「労働基準関係法令違反に係る公表事案」に1年間掲載されることとなります。
公表事例のなかには、最低賃金法の違反が多く掲載されています。
つまり最低賃金を支払わない会社は、労働局からペナルティを受けるリスクが高い企業といえるでしょう。
どのような会社が掲載されているのか、気になる方はぜひチェックしてみてください。
正社員で働くなら時給の目安は何円か
「最低賃金は上回っていたけど、自分の給料が高いのか低いのかよくわからない・・・」
という方も多いですよね。
正社員といっても時給は業種や企業によって大きく異なります。
たとえ同業種でもシェアNo.1の大手企業と中堅規模の会社では、年齢・役職が同じでも受け取っている給与に大きな差が開くことも。
時給換算でいくらぐらいもらっておけば問題ないのか、目安となる金額について見ていきましょう。
全国の平均額は1,554円程度
マイナビが2015年に行った調査によると、社会人男女500名の時給換算した給与額は平均で1,486円でした。
一方で2015年から2018年にかけて、最低賃金額は全国加重平均で68円アップしています。
この額を加算すると、2018年時点における正社員の時給平均額は1,554円程度といえるでしょう。
あなたの時給換算した給与と比べてみて、いかがですか?
「時給1,500円って意外と少ない気がする・・・」
と感じた人もいるのではないでしょうか。
たしかに都心であれば、時給1,500円を超える派遣求人もたくさんあります。
「派遣社員より低い時給で働いていたなんて・・・」
とショックを受けてしまう人もいるかもしれませんね。
時給5,000円以上の企業も
大手企業で働いている場合、時給換算した給与がいくらになるのか気になりませんか?
東洋経済が発表した『CSR企業総覧2018年版[雇用・人材活用編]』(東洋経済新報社)のデータによると、以下のような企業は時給5,000円を超えていることがわかりました。
- 製薬業界(第一三共、アステラス製薬、武田薬品工業など)
- 石油業界(JXTGホールディングス、昭和シェル石油)
- 業界の上位企業(野村ホールディングス、電通、日本オラクル、日本郵船、味の素など)
なかでも伊藤忠商事、丸紅、三井物産、住友商事といった商社は時給が6,000円を超えています。
最も時給が高い企業は三菱商事で、7,139円でした。
さすがは大手有名企業というべきでしょうか。
時給が5,000円超えているなんて、なんだか怪しい仕事に思えてしまいますね。
あなたの働きに給料は見合っているか
「毎日こんなに頑張って働いているのに、時給換算すると1,000円ちょっとだった・・・」
給料を時給換算してみて、ショックを受けてしまう人も少なくありません。
せっかく毎日頑張っているんですから、相応の給料を受け取りたいですよね。
「でもだからといって転職するのはちょっと・・・」
「このまま頑張っていれば給料が上がるかもしれないし・・・」
と退職に後ろ向きな人も多いですね。
ただ、先にお伝えしておくと給与水準の低い会社に留まっていても、明るい未来は決してやってこないでしょう。
低賃金の会社に昇給は見込めない
あなたは、なぜ安月給で働かされているか考えたことがありますか?
そもそものビジネスモデルが弱く、業界全体が落ち込んでいる場合もありますし、経営者や役職者の実力不足も考えられます。
もっとも、会社にたずねるとあなたの能力を問題とする場合も多いかもしれませんね。
仕事には合う・合わないがありますから、不向きな仕事で頑張ってもなかなか成果を上げられないものです。
悪質なのは、どれだけ会社が儲かっていたとしても、従業員に還元しようとしない会社。
従業員をこき使うことしか考えていないような会社は、残念ながら一定数存在します。
今の会社でこのまま頑張り続けて、3年後、5年後に年収が大幅にアップしていることを期待できるなら、しばらく耐えるのもひとつ。
ただ、上司や先輩の姿を見て、「あんなふうになりたくない・・・」と感じるなら、早めに別の道を探ってみたほうが良いでしょう。
サービス残業はそもそも違法
先ほどご説明したとおり、時給換算の給与を調べる際に時間外手当は含めないのが一般的。
ただし、残業代を支払わなくてよい、というわけでは決してありません。
法定労働時間を超えて働かせる場合、36協定を締結の上、超えた分に対して最低25%の割増賃金を支払う必要があります。
「残業代なんて今まで一度も支払われたことがない・・・」
という人も少なくありませんが、サービス残業はれっきとした違法行為です。
そして、サービス残業が常態化している職場の場合、短期間で働き方が改善することはまずありません。
なにか特別な事情がない限り、早めに仕事を変えたほうが良いでしょう。
自分の市場価値を調べてみる
「そもそも今の自分の実力で、どれくらいの年収を目指せるのか気になる・・・」
という人も多いですよね。
年齢や経験、職種や業種、資格の有無などによって、年収の目安は簡単に調べることができます。
極端な例ですが、経験15年のベテラン弁護士の年収が300万円だと聞くと、あなたはどう感じますか?
「そんなのあまりに低すぎる・・・」と感覚的にわかりますよね。
果たして今のあなたの実力で転職した場合、一体どれくらいの年収を期待できるのでしょうか。
想定年収の調べ方については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
転職エージェントで相談してみる
自分の給料が実力に見合っているかどうかを知りたいなら、転職エージェントで相談してみるのもひとつ。
「転職して今よりもっと年収を上げたい」
と相談すれば、あなたの希望に合った求人を紹介してくれますよ。
ただし、「今のあなたの実力で大幅な年収アップは難しい」と現実的なアドバイスをされることもあります。
カウンセリングを受けた結果、「今はまだ転職するべきではない」という結論に達することもあるでしょう。
いずれにしても、給料に不満を感じているなら一度相談してみることをおすすめします。
お仕事帰りなどに立ち寄ってみてはいかがですか?
年収の低すぎる会社は早めに退職を
「給料を時給換算したら時給が1,000円を下回っていた・・・」
「これだけ売上を上げているのに時給1,200円だった・・・」
待遇に不満を感じているなら、早めに手を打つべきです。
経営者や会社そのものに問題がある場合もあれば、あなたと仕事内容の相性に問題がある可能性も考えられます。
もちろん、あなた自身の努力をはじめ、部署異動などで解決できるなら結論を急ぐ必要はないでしょう。
ただ、時給換算した金額があまりに低かったのなら、今の職場にしがみつくべきではありません。
総合商社のような超大手企業は少々特殊ですが、時給換算で2,000円、3,000円を超える会社は世の中にはたくさんあります。
あなたの実力に見合った報酬を受け取れるように、どの道へ進むべきなのか今一度考えてみてくださいね。