これまで採用担当として、数多くの方と面接でお会いしてきました。
必ず面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞くようにしていましたが、半分くらいの方が「特にありません。」「大丈夫です。」と回答するのです。
自分が働くことになるかもしれない会社に対して、気になること、聞いてみたいことが何一つない。
いつも違和感を感じていました。
はっきり言ってしまうと、質問が一つもない人はそれだけで印象が悪くなります。
中途採用の面接で質問が一つもないのは印象最悪
新卒採用の面接であれば、一つも質問が出てこなかったとしても仕方ないかなぁという気になります。
新卒採用の場合、いきなり面接に来てもらうということは少なく、まず説明会で会社のことを知ってもらうことがほとんど。
説明会でも質疑応答の時間があったりしますし、説明された内容や配布された資料を読むことで、興味のあることは概ね知ることができたりもします。
学生は社会人経験がない以上、わからないことだらけで何を質問したらいいかわからない、という状態も仕方のないことだと思うのです。
ところが中途採用では話が違います。
社会人経験がある以上、確認すべきこと、想像できることもたくさんあるはずです。
新卒採用とは異なり、多くの場合、説明会などの機会を設けずにいきなり面接からスタートします。
知らないことが山ほどあるはずなのに、質問が一つもないというのは、意欲が低いと判断せざるをえないのです。
人材紹介経由の応募者に質問ゼロの傾向が強い
私が担当した中途採用面接においては、人材紹介会社を通じて面接に来た応募者に、質問ゼロの人が多かったように感じます。
担当のキャリアカウンセラーから紹介されたので、とりあえず書類を出してみて、書類選考が合格だったから、とりあえず面接に来てみた、という人が多かったのだと思います。
自分から応募したというよりは、紹介されたから一応来てみた、というのが実情だったのでしょう。
私の働いていた会社が魅力的ではなかったとか、人材紹介会社の担当者が微妙だったとか、改善すべき点は他のところにもあるとは思いますが、質問が一つもないのは無条件で印象が悪いです。
転職エージェント経由で面接を受けに行くときは、少なくとも質問を2〜3個は用意していくことをおすすめします。
私だったら質問してみたいこと
私は今フリーランスとして仕事をしていて、今後もどこかの会社に所属して仕事をしていくつもりはありません。
それでも万が一、また転職活動をすることになったとしたら、例えば以下のようなことはなるべく早い段階で確認しておきたいです。
- 朝は何時くらいに出勤している人が多いのか
- 夜は何時くらいに帰る人が多いのか
- 上司より早い時間に普通に帰れる文化はあるか
- 上司や役職者をどう呼んでいるか
- 社長はどんな人か
- 従業員と社長との関わり方はどのようなものか
- 勤務時間の長さは人事評価に関わるのかどうか
- どのような基準で評価され、どのように給与や昇進に影響するのか
- 現在、社内で最も評価されている人はどんな人か
- 現在、社内で最も評価が低い人はどんな人か
- 仕事はチームで動くことが多いか、個人で動くことが多いか
- 毎日、日報などを出す必要があるか
- 支給されるパソコンはどの程度のものか
- キーボードやマウスは選べるか、または持ち込みOKか
- エクセルはどの程度の関数まで使うことになるか
- パワーポイントはどの程度まで使えると仕事を進めやすいか
- 定例会議などはあるのか、あるとしたらどういった内容の会議がどういった頻度であるのか
- お昼休憩はどのように過ごす人が多いのか
- 昼食は社内で食べる人が多いのか、外で食べる人が多いのか
- 勤務時間中、従業員同士の私語はどの程度あるか
- コーヒーを飲みながら仕事はできるか
- 給湯室はあるか、自分でコーヒーを淹れられるか
- 自動販売機はフロアにあるか
- 仕事中におやつ食べてもいいのか
- 喫煙者はどの程度いるのか
- 嫌煙者への対応は何かしているか
- 私服はOKか、どの程度のラフな服装まで問題ないか
- 副業はOKか
- 飲み会の頻度はどの程度か
- 会社主宰の飲み会費用は自己負担か
- 会社行事はどれくらいの頻度でどういったものがあるか
- 各役職に与えられている権限はどの程度のものか
- 各役職に求められている成果はどの程度のものか
今、頭に浮かんだのはざっとこれくらいです。
一次面接の場でいきなりこれを全部確認するのは時間的にも難しいとは思いますが、入社に至るまでの間に確認はしておきたいです。
私は、上司が席を立たないと先に帰れないとか、惰性で行われる定例会議や飲み会、はクソ食らえ耐えられないタイプの人間です。
お昼も一人で過ごしたいので、常に誰かと一緒に行動するような文化がある会社は肌に合いません。
なので必ず面接の場で確認しておかないと、内定をいただけたとしても入社後のリスクが高くて入社できません。
細かく確認しておかないと入社後のギャップが大きくなる
自分が働くことになるかもしれない職場です。
自分にとって何が嫌で、どういう環境であれば働きやすいか、きちんと確認しておかないと怖くて入社なんてできません。
絶対に譲れないポイントや、多少は妥協できるポイント。
自分の中で基準を作っておいて、質問の中で一つ一つを確認していくことが大事です。
応募者だって会社を選ぶ立場なのですから、希望の条件と合わない会社とはおさらばすべきなんです。
面接の際にろくに質問をせず、内定がもらえたからという理由で安易に入社して、思っていた仕事と全然ちがう!と入社して数ヶ月で辞めてしまう。
一番最悪のパターンです。
事前に細かく伝えていない会社側にも非はありますが、応募者の自業自得でもあります。
入社しようとしている会社が、本当に自分の理想と合致しているのかを、細かすぎるくらいに質問して確認すべきです。
何よりも自分のために面接ではたくさん質問を
面接が通りやすくなるから、質問はたくさん用意しておいたほうがいい。
そういったニュアンスの面接対策をネットで見たことがあります。
確かにたくさん質問をしてくる応募者は、それだけでも入社意欲が高いように見えて好印象です。
とはいえ何でもかんでも質問すればいい、というわけではありません。
例えば、それホームページに書いてるよね、という調べればすぐわかるようなことを聞いてしまうと危険です。
自分の印象をよく見せるために質問をたくさんするのではなく、誰よりも何よりも自分のために質問をたくさんすべきなのです。
仕事を楽しいと思える環境がその会社にあるのか、嫌だと感じる環境はないのか。
働いてみないとわからないこともたくさんありますが、質問から見えてくるものもたくさんあるのです。
仕事が嫌で会社を辞めた人はなおさら、次に入社する会社では同じようなことがないように、入社前にきっちり細かく確認しておきましょう。
面接最後の「何か質問はありますか」は、そのための時間なのです。
あなたの転職活動がうまくいくことを願っています。