毎朝憂鬱な満員電車。
しかも長時間となると、会社へ行くこと自体が億劫になってしまいますよね。
仕事の内容や待遇には納得しているのに、長距離通勤が嫌で転職を考えている自分は「贅沢者かも?」と罪悪感を感じていませんか?
そんな方のために、今回は通勤時間が理由での転職はアリなのかどうかについて考えていきます。
長距離通勤が嫌で退職する人はいる
結論から言うと、長距離通勤が嫌で退職する人は、います。
退職理由は人それぞれなので、「人間関係や待遇面のストレスより、通勤時間の長さが耐えられない!」という人もいるのです。
入社時は納得していたつもりでも、思っていたより残業が多かったり、飲み会で上司に遅くまで引き止められることがあったり。
ただでさえ少ない平日の自由時間を、通勤時間に奪われるのが徐々にきつくなってしまっても無理はないでしょう。
面接で実際に答える退職理由としては工夫が必要ですが、長距離通勤が理由での転職は珍しいことではないのです。
社会人の平均的な通勤時間
athomeの2014年の調査によれば、首都圏在住で住宅を購入したサラリーマンの平均通勤時間は「58分」となっています。
ちなみに理想の通勤時間の平均は「35分」なので、多くの人は理想の倍ほどの時間を妥協して通勤していることになります。
もしあなたの通勤時間が平均より大幅に長いようなら、毎日の通勤が苦痛でも無理はありません。
持ち家ではなく賃貸や実家住まいなら、転職ではなく引越しをするのも一つの方法です。
プライベートが少なくなる
平均で往復2時間、それよりも長ければ3〜4時間。
毎日これだけの自由時間が増えるなら、どんなことをして過ごしたいですか?
2時間あれば映画を1本観られますし、コンビニ飯になりがちな夕食を自炊したり、配偶者や子供がいるなら家事や育児の手伝いもできるようになります。
通勤時間を理由に転職する場合の一番のメリットは、職場が近くなった分だけプライベートが充実することです。
毎日職場との往復だけで、家には寝に帰るだけ…という人は、人生を豊かにするために転職を視野に入れてみましょう。
睡眠時間が減って疲れやすい
「通勤時間が長くなると、寿命が縮まる」という話を知っていますか?
アメリカの報道では、通勤時間1時間につき、睡眠時間は26.5分短くなると言われています。
たった約30分ですが、毎日の積み重ねとなると身体に溜まる疲れは通勤時間が短い人のな倍にもなります。
また、乗り換えが多いと、遅延に対する焦りが無意識にストレスとなって蓄積します。
長距離通勤に関わるこれらの要素が「寿命を縮める」と言われているのです。
特に残業や飲み会が多い業種の方は、健康のためにも近くの会社への転職を考えたほうがいいでしょう。
マイカー通勤は危険も伴う
会社や近辺に駐車場があるなら、マイカー通勤にすれば満員電車のストレスはなくなります。
ただし自宅と会社に距離がある限り、マイカー通勤だとしてもある程度の時間はかかるのを覚悟しておいたほうがいいでしょう。
また、道路の渋滞は電車の遅延よりも予測できないので、結果的に電車通勤より早めに家を出る羽目になることも。
さらに、警察庁の調査によれば、車での死亡事故が最も多くなる時間帯はちょうど帰りの通勤時間帯である「17時台〜20時台」です。
この時間帯は一気に空が暗くなってライトの点灯にばらつきがあり、またドライバーも1日の仕事を終えて疲れている時なので注意散漫になりやすいのです。
自分はしっかりしていても貰い事故の可能性は避けられないので、安易にマイカー通勤に切り替える前にリスクのことを知っておきましょう。
緊急時や体調不良時も大変
家や会社でトラブルが起こって一刻も早く駆けつけなければいけないという時、長い通勤距離はとてももどかしいです。
また、会社を休むほどではない体調不良の時は、1分でも長くベッドに留まっていたいですよね。
自分ではなく家族が体調不良の場合もなるべく長く付き添えますし、会社が近ければ病院へ送ってから出勤しても間に合うという場合もあります。
このように、自分や家族に何かがあった場合にも、通勤時間が短いに越したことはありません。
自分や家族の身体が弱い方、小さなお子さんがいる方は、特に自宅から近い会社に転職するメリットが大きいです。
転勤や異動が理由なら会社都合退職に
自宅から遠い場所への転勤や異動が理由で退職する場合、会社都合退職にできる可能性があります。
この制度が適用される条件や、失業保険を受け取るための手続きについてご紹介します。
特定理由離職者という制度
「特定理由離職者」とは、倒産や解雇、その他正当な理由のある退職など、完全な自己都合ではなく退職した人のこと。
実はこの「正当な理由のある退職」に、異動や転勤、事業所の移転など通勤困難が理由の退職が含まれます。
自己都合退職の場合、失業手当は手続き後3ヶ月経たないと受給できませんが、特定理由離職者に認定されると時間をおかずすぐ受給することができます。
突然言い渡された転勤や異動では事前に転職活動をすることができませんから、通勤困難が理由で退職するならぜひ知っておきたい制度です。
雇用保険法では、通勤困難と見なされる通勤時間は「通常の方法で通勤する場合、往復の通勤時間が概ね4時間以上になる場合」です。
ちなみに本人ではなく、配偶者の転勤についていくための退職も特定理由離職者になります。
ハローワークで相談を
会社都合で退職して特定理由離職者として失業手当を貰う場合、ハローワークでの手続きが必要です。
企業から離職票を受け取ったら、離職理由欄に転勤・異動が理由であると記入してハローワークに提出しましょう。
求職票など必要書類を記入して手続きをすれば、特定理由離職者の場合7日後から失業手当を受け取れます。
もし、自分の意に反した退職なのに会社から自己都合の離職票を渡されてしまった場合も、ハローワークで離職理由に異議を申し立てることができます。
勤務地を理由に転職するときの注意点
それでは、長距離通勤を理由に転職するときは、どんな注意が必要なのでしょうか。
転職活動や上司への切り出し方について、解説していきます。
通勤時間と待遇どちらを優先するか
通勤時間を軸に転職活動をする場合、ある程度会社の立地が絞られます。
同業種・今より良いポストで転職したいなど条件がある場合には、さらに選択肢は少なくなるでしょう。
今の会社より家に近く、さらに待遇もいい会社というのは、見つける方が難しいです。
それでも長い通勤時間が嫌だ!という場合は、ある程度待遇面に妥協することも考えておきましょう。
転職活動は退職前からはじめる
先に解説したように、家に近くてさらに待遇がいい、都合がいい仕事というのはなかなかありません。
今より良い環境への転職を成功させるためには、緻密な事前準備が必要です。
間違っても、通勤時間を苦痛に感じたその瞬間に離職するのはやめておきましょう。
長い通勤時間は、少なくとも今まではこなせていたことなのですから、自分にマッチする求人が見つかるまでじっくり待ってみるのも手です。
転職を焦ると家から近くても待遇の悪い会社に当たり、「通勤時間くらい我慢すればよかった」と後悔するかもしれませんよ。
上司への切り出し方に要注意
お世話になった上司には、なるべく穏便に転職を伝えて、波風立てず退職したいですよね。
キャリアアップのための転職や、仕方ない事情があっての退職なら、良い上司は理解して送り出してくれるでしょう。
しかし通勤時間が苦痛で転職というのは、なかなか上司に理解されにくい退職理由です。
基本的に、上司に退職を伝える時は、ネガティブな理由は言わないのが無難です。
通勤時間がネックというのは隠し、「挑戦してみたい仕事が見つかった」などポジティブな理由に言い換えましょう。
また、同じ通勤時間が理由でも「子供が小さくて家族に負担をかけている」「体が弱く、体力的にきつくなってきた」など、言い方次第では理解を得られるかもしれません。
面接で聞かれる退職理由は要工夫
転職先の面接でも、基本的にネガティブな退職理由は言わない方が良いです。
ストレートに長距離通勤が苦痛だったと伝えてしまうと、「早起きできない怠惰な人」「満員電車に耐えられないメンタルの弱い人」と捉えられてしまいかねません。
面接では、通勤時間以外に転職先の会社に魅力を感じる要素を見つけ、そちらを積極的にアピールしましょう。
リモートワークなど、働きやすさを売りにしている会社で通勤時間のことを話題に挙げるなら「通勤をなくして時間を有効活用したいと思った」などポジティブな言い回しがおすすめです。
長距離通勤を無理して続けないように
何時間もただ電車に揺られるだけの通勤時間は、実は大きなストレスとなっています。
毎日の早起きや終電での帰宅に嫌気が差しているなら、それは十分退職の理由になりますよ。
今はリモートワークやテレワークなど、必ずしも出勤しなくても仕事ができる時代です。
通勤時間が苦痛になっているなら、「仕方のないこと」と諦めずに自分の働き方を見直してみましょう。