「納期は明日までなのに、仕事が全然終わってない・・・」
あまりの仕事量に追われ、会社に泊まった経験のある方も多いですね。
オフィスで寝泊まりせずとも、近くのネットカフェで仮眠をとったという方も。
業種によって差はあるものの、シフト制でないにも関わらず24時間オフィスの電気がついたまま、という会社は少なからず存在します。
はじめての会社泊はなんだかワクワクするものですが、何ひとつとしてメリットはありません。
突然のトラブル対応ならばいざ知らず、何日も家に帰れない日が続くようなら早めに退職を考えましょう。
このページでは、社内泊のデメリットについて詳しくご説明します。
社内泊は健康上のデメリットが大きい
会社に泊まったことのある方なら、きっと経験があることでしょう。
社内泊は、とりわけ健康面でのデメリットが大きいです。
具体的にどんなデメリットがあるのか、代表的な例を見ていきましょう。
乾燥やほこりでのどがやられる
会社に泊まり込んだ翌日、風邪を引いてしまったことはありませんか?
一般的なオフィスは空調が常に動いているため、どうしても乾燥しがち。
マスクもせずに寝ていると、のどを傷めるリスクが非常に高いです。
さらに会社に泊まり込む場合、床の上で寝ることが多くなります。
清掃スタッフさんが居たとしても、毎日隅々まで掃除機をかけてくれることは稀。
床で寝ていると、どうしても床にたまったホコリやゴミを吸い込んでしまいます。
顔まで全部覆える寝袋があればベストですが、少なくともマスクを使用してのどを守りましょう。
ぐっすり眠れず疲れが取れない
「会社に泊まれば、通勤時間を睡眠に充てられる!」
と考える人もいますが、現実はそんなに甘くありません。
交代制を採用している会社なら仮眠設備が整っていてもおかしくありませんが、ほとんどの場合、まともな寝具がない状態で寝ることになります。
ダンボールを敷いて寝るという人もいますが、自宅のベッドと比べれば寝心地は雲泥の差。
床の固さが直に体に伝わってくるため、朝起きたときには体全体が痛くなっていることも。
椅子をつなげて寝るという選択肢もありますが、キャスター付きの椅子を固定させるのは至難の技。
眠りについた瞬間、椅子が動いて床に転げ落ちることもしばしば。
さらに職場で寝るということは、仕事から解放される時間がないことを意味します。
警備員の巡回や夜中の間違い電話で起こされてしまったり、どこからともなく聞こえてくる音に怯えたり。
自宅で寝たときのようにリフレッシュできず、心身の疲れはなかなか取れません。
コンビニや外食で栄養がかたよる
会社に泊まり込むほど忙しい状況だと、ゆっくり食事を取る余裕もないでしょうからコンビニや外食に頼りがち。
カップラーメンやコンビニ弁道は高塩分、高脂質、ビタミン不足の場合が多く、継続して取り続けると体調不良の原因となります。
オフィスで自炊なんてできませんし、社員食堂があっても深夜まで営業していることはないでしょう。
ファーストフードで空腹は満たせても、肌荒れや便秘など、着実に健康が蝕まれてしまいます。
深夜の食事はダイエットの天敵でもあるため、太りやすい体質の方はとくに注意です。
健康面以外のデメリットも多数ある
「自分は体が丈夫だし、野宿にも慣れているから大丈夫!」
という人も稀にいますが、会社に泊まり込むことは健康面以外にも大きなデメリットがあります。
どういったポイントがあるのか、具体的に見ていきましょう。
家族とのコミュニケーションが取れない
会社への泊まり込みが続くと、家族や恋人とのコミュニケーションが疎かになっていきます。
電話やメールもできないほど忙しい状況だと、余計な心配をかけてしまうことも。
「会えない時間が愛を育てる」
と歌ったのは郷ひろみですが、寂しい思いに耐えられない人も少なくありません。
あなたのいない生活が日常となった場合、配偶者の不倫や離婚など、家庭内不和を生み出してしまうリスクもあります。
「自分の恋人は絶対に大丈夫だから!」
と自信を持てるのは素晴らしいですが、考えてもみてください。
なぜいくつもの探偵会社が成り立っているのか、なぜコンビニに並ぶ週刊誌の見出しは不倫や浮気ばかりなのか。
会えない時間は、愛以外の感情をも育ててしまうのが現実です。
毎月払っている家賃が無駄に感じる
あなたの家は、毎月の家賃いくらですか?
会社に泊まり込む日が多くなるほど、自宅は荷物を置いているだけの物置となってしまいます。
曲がりなりにも会社内で生活が完結していると、毎月の高い家賃が無駄に感じるようになるでしょう。
また、郵便物がたまることで不在がちということが周囲にも伝わってしまいます。
つまり空き巣に入られやすくなるリスクも高まるということです。
「別に金目のものなんてないし、こんな家に空き巣なんて入らないでしょ」
と思っているかもしれませんが、空き巣に入られた人も同じように考えていたんですよ。
残業代はきちんと支払われているか
ここまでご説明したように、会社へ泊まることはデメリットしかありません。
唯一のメリットといえるのは、残業代で手取りの給料が増えることでしょうか。
ただ、会社に泊まり込むほど長時間働いていたのに、残業代が1円も支払われていないという人も少なくありません。
あなたはいかがですか? きちんと残業代は支払われていますか?
働いた時間分の残業代は支払われるべき
本来、残業とは業務命令に応じて行われるものですから、働いた時間分の残業代は支払われるべきです。
これは具体的な業務命令の指示がなくても、定時後に会社に残ることを許すだけで残業の黙認があったと認められ、支払いの対象となります。
また、あなたが管理職であっても「管理監督者」にあてはまらない限り、残業代の支払い対象となります。
東京労働局によると、管理監督者とは以下のように定義されています。
管理監督者は法律上の労働時間等の制限を受けませんが、管理監督者に当てはまるかどうかは役職名ではなく、その社員の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえて実態により判断します。
これらにあてはまらない人は、社内で管理職とされていても残業手当や休日出勤手当が必要です。
- 経営者と一体的な立場で仕事をしている
- 出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない
- その地位にふさわしい待遇がなされている
引用元:東京労働局 しっかりマスター 労働基準法-管理監督者編-
つまり、会社員として働くほとんどの人は残業代の支払い対象となるでしょう。
「夜中の3時まで働いていたのに、残業代が振り込まれていない!」
という方は、弁護士などの専門家に相談することで未払い残業代を請求することもできます。
体調を崩すほど頑張って働いたのに、対価が支払われないなんて絶対にあってはいけないことですよ。
タクシー代や宿泊費の支払い義務はない
「残業で終電がなくなったので、タクシー代を経費で落としたい」
「会社に泊まるくらいなら、近くのホテルで仮眠を取りたい」
という人も多いですが、残業を理由としたタクシー代や宿泊費を経費で落とせるかどうかは会社の判断次第。
タクシー代を出してもらえるなら、誰だって会社に泊まったりせず、たった数時間でも自宅で眠りたいですよね。
近くにあるのがラブホテルだったとしても、オフィスの床で寝るよりマシでしょう。
業務遂行に必要な費用と考えてくれるまとも上司なら、経費扱いにしてくれるかもしれません。
しかしながら、深夜まで従業員を働かせるような会社がタクシー代や宿泊費を経費で落とすとは考えにくいです。
雇用者には安全配慮義務がある
そもそも会社など従業員を雇用する者は、従業員に対する安全配慮義務があることを知っていますか?
労働契約法第5条では、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」として、使用者が労働者に対して負うべき労働契約上の付随義務を定めています。
これを「安全配慮義務」と呼びます。
使用者がこの義務を怠り、労働者に損害が発生した場合、使用者は労働者に対して損害賠償責任を負うことになります。
引用元:日本の人事部 安全配慮義務
会社に泊まり込むほどの長時間労働を強いられているのなら、安全配慮義務の基本的なポイントについて理解を深めておきましょう。
長時間労働による健康被害防止が求められる
従業員を雇っている会社は、長時間労働による健康被害の防止に努める必要があります。
たとえば、働きやすい環境を整備するなどの義務があるということです。
また労働時間を適正に把握すること、時間外労働や休日労働の削減に努めなければなりません。
とりわけ時間外労働が100時間を超えた労働者に対しては、申し出により医師による面接指導を受けさせなければなりません。
「今月の残業時間、100時間を超えてた・・・」
という方は、厚生労働省の以下サイトをぜひチェックしてみてください。
引越しを強要されても応じる必要はない
たとえば、職場から徒歩10分の場所に住んでいれば、会社に泊まり込むようなことは避けられます。
どれだけ遅くまで働いたとしても、歩いて家に帰ることでしょう。
とはいえ、職場の近くに住むとなると家賃が高くなったり、生活が不便だったりとデメリットばかり。
「お前は会社への泊まり込みが多いから、もう会社の近くに引っ越せ!」
と上司から要求されたとしても、応じる必要はありません。
社宅や寮があるならまだしも、従業員には住む場所を自由に決める権利があります。
また、自宅が遠い従業員に対して給与を減額したり、重要な仕事を与えないといった不利益を与えることも禁止されています。
長時間残業は会社都合退職扱いになる
そもそも安全配慮以前の問題として、残業時間が100時間を超えているなら会社都合扱いで退職できます。
100時間は超えずとも、3ヶ月連続で残業時間が45時間を超えた場合、2ヶ月連続で80時間を超えたときも「特定受給資格者」として認定されます。
会社都合扱いで退職できるということは、失業手当をすぐに受け取れるということ。
自己都合退職扱いだと、諸々の手続きを経て3ヶ月経たないと失業手当は受け取れないのです。
「もう仕事を辞めたいけど、退職したら生活できなくなる・・・」
と心配している方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
会社への泊まり込みが続くなら退職を
仕事のためとはいえ、会社に泊まることはデメリットしかありません。
あなたのミスが原因だったり、社運をかけたプレゼンの準備など、どうしても避けられないときはありますよね。
とはいえ何日も社内泊が続くような会社は異常です。
従業員の採用が思うように進んでいなかったり、業績が不安定だったり、何らかの問題を抱えていることは明白。
あなたひとりがどれだけ努力したとしても、労働環境が大幅に改善される見込みは少ないでしょう。
今の仕事が楽しくて仕方ないならまだしも、長時間労働を負担に感じているなら早めに退職を考えてください。
深夜まで仕事に取り組むほど根気のあるあなたなら、活躍できる場所はきっとたくさん見つかりますよ。