転職サイトの求人内容を見ると、幹部候補募集!という文字をよく見かけます。
もちろんまっとうな求人もあります。
その一方で、ブラック企業が求人を出す際のうたい文句として使われている場合もありますから、注意しなければなりません。
ではどの点に注意すれば良いのでしょうか。
この記事で、詳しく確認していきましょう。
幹部候補の募集自体はありふれている
ブラック企業が幹部候補の文字をうたい文句として使う例もありますが、幹部候補の求人自体はありふれたものということに留意する必要があります。
なにしろ新卒採用は幹部候補生の場合が多く、自衛隊でも幹部候補生の採用は定期的に行われています。
従って幹部候補の文字があるからといって、直ちにブラック企業と断定することは、あなたが良い会社に就職する妨げとなるかもしれません。
大切なことは、幹部候補の文字にだまされることなく、その本質を見極めることです。
なかでも本当に幹部候補を募集しているのか、それとも残業代を払いたくないために幹部候補を募集しているのかの区別は重要です。
ブラック企業をどのように見極めるか
多くの幹部候補の求人のなかで、ブラック企業かどうかの見極めは極めて重要です。
ここでは幹部候補を募集している会社に応募すべきかどうか、その見極め方を考えてみたいと思います。
求める人材像や仕事内容をイメージできるか
まともな企業は、入社後の仕事内容について、胸を張って説明することができます。
必要な資格やスキルが明示されている場合も多いでしょう。
求める人材像も、いくつか示せるものです。
そのため、採用後にどのような仕事になるか、またあなたが活躍できるかどうか、ある程度イメージができると思います。
求人に応募すべきかどうか、募集内容を見ただけである程度判断できる場合も多いでしょう。
そもそもこのような企業では応募者を絞り込むため、応募要件が細かく列挙されている場合も多いです。
仕事内容の詳細がつかめない企業は注意
その一方で、仕事内容がほとんど書いていない場合は要注意です。
面接でも詳しい仕事内容が話されない場合は、問題商法であったり、世間から嫌われる営業方法を取る会社という場合もありますから、辞退をおすすめします。
またイベントや飲み会等、仕事以外の内容をアピールする会社にも注意が必要です。
その会社は仕事上での強みが何もないため、このようなアピールをしている可能性があります。
そもそも、会社は遊びに行くところではありません。
未経験で幹部候補になれるのは20代半ばまで
幹部候補の募集には、時々「幹部候補募集!未経験歓迎!」という文字を見かけますが、本当に未経験で幹部候補になれるのは新卒か第二新卒くらいです。
そもそもまともな会社であれば、すでに社内に経験者が多くいるはずです。
このような方々を差し置いて、いきなり中途で未経験者を幹部候補にしてしまったら、社内からは不満が噴出するでしょう。
従って未経験で幹部候補になれる場合は、以下のようなケースが考えられます。
- 人材が絶望的に足らず、誰でもいいから採用しないと業務が回らない
- 労働条件が他社と比べて悪く、経験者がことごとく退職してしまった
- 実は社員のほとんどが管理職(名ばかり管理職が多数)
どれもあらかじめわかっていれば、入社したくない内容ばかりです。
このため「幹部候補募集!未経験歓迎!」と掲げる会社への応募は、あなたの身を守るためにも入社前にきちんと見極めることが大切です。
さてこのように書くと、未経験の方からは「幹部候補で募集しなかったら、一体どういう求人に応募すれば良いのか」という疑問も出るかもしれません。
この場合は普通に正社員を募集したり、場合によっては契約社員で募集することになります。
このような求人を探して応募すると良いでしょう。
成長ばかりをアピールしてくる企業も要注意
幹部候補の求人のなかには、やる気や努力、あなたの成長など、ひたすら意欲や気持ちに訴える内容が大半の場合もあります。
一見、あなたに寄り添う親切な会社のように見えますが、ブラック企業の場合が多いですから注意が必要です。
もちろん、やる気や努力は仕事に必要な要素です。
しかし仕事は結果で判断されることが多いこともまた事実であり、まっとうな努力をしている会社であれば、何らかの強みが生まれるはずです。
このため意欲や気持ちしかアピール材料が無い会社に入ると、以下のような実情に驚くことになるかもしれません。
- 営業成績を上げるために長時間労働をさせる
- パワハラが日常的で「お前の成長のため」と言って追い込む
- 基本給も低く変更され、残業代も支払わない
普通の管理職採用は就任ポストが決まっている
通常の管理職採用の場合は、就任するポストがあらかじめ決まっていることが普通です。
そのポストに該当する人材像を固めた上で採用活動に入りますが、採用している事実そのものを競合他社に知られたくない場合も少なくありません。
そのため通常は転職サイトで公募されることは少なく、多くは転職エージェントを通じて非公開で採用活動を行う場合が多いです。
もちろん面接においても過去の実績等を細かく問われ、また経験等も根掘り葉掘り聞かれることになるでしょう。
このように管理職採用は、採用する人を誤ると業績の悪化に直結しますから、極めて慎重に行われることが普通です。
そのため、転職サイトや面接で以下のような内容があった場合は、ブラック企業の可能性が高いでしょう。
- すぐに管理職になれます
- 試用期間終了後は管理職に昇格!
- 未経験でも管理職候補!
またこのような企業が指す管理職は、肩書こそ管理職ですが、実際は薄給かつ権限が限られた「名ばかり管理職」ということになるでしょう。
もちろんその目的は、残業代を払わず働かせるためであることが主なものといえます。
選考をまともに行わない企業は辞退がおすすめ
ここまで説明した通り、幹部候補の採用は会社の将来に影響するといっても過言ではありませんので、慎重に行われることが普通です。
そのため1回の面接でこれまでの経歴もろくに確認せず、すぐに内定を出す企業は要注意です。
実は誰でも良いという場合も多く、さらに誰も務まらない厳しい仕事という場合もあります。
強力な引き止めにあう可能性もありますが、このような企業はブラック企業の可能性が高いですから、辞退をおすすめします。
幹部候補の甘い言葉に惑わされず慎重に見極めを
ここまで幹部候補を募集している会社について、見極め方を考えてきました。
なかなか背筋の寒くなる内容もあったのではないかと思います。
繰り返しますが、幹部候補を募集すること自体がブラック企業という考え方は、逆にあなたが良い企業と出会う機会を逃すことにもなりかねません。
そうではなく、幹部候補という文字を見たら、本当に幹部候補の募集なのかどうか見極めることが重要です。
常識的にはあなたがその職種の経験者でない限り、幹部候補として採用されることは難しいでしょう。
また未経験で幹部候補という場合はブラック企業の可能性も多分にありますから、募集内容を注意して確認することが大切です。
募集内容を見て、仕事のイメージが見えてこない場合は、以下の可能性があります。
- 社会的に問題のある仕事である
- ブラック企業が仕事の詳細を隠している
- 単純にあなたのスキル不足
どの理由であっても、応募をすることは控えたほうが良い理由となります。
いずれにしても、会社は仕事をするところです。
幹部候補の言葉に舞い上がることなく、仕事内容をしっかり確認して、あなたが働きやすい職場に就職できるように努力しましょう。