「昔から人と話すことが好きだから」
「好きなものやサービスを扱えるのが楽しいから」
サービス業や接客業は働き口も多く、若い世代を中心に人気の高い職業のひとつ。
「接客こそ私の天職!」と思える人もいますが、実際に働いてみて理想と現実のギャップに悩んでいる人も少なくありません。
体力的にしんどかったり、会社の将来に行き詰まりを感じていても、「今さら他の職種に転職できないのでは・・・」と不安に思う人も多いですね。
このページでは、サービス業から異業種へ転職する際の注意点について詳しく解説します。
近いうちに転職を検討している方は、ぜひご覧ください。
サービス業を辞めたい主な理由
あなたが仕事を辞めたいと思っている理由は何ですか?
どんなところに不満やストレスを感じるかは人それぞれ。
そして、何を理由に退職するかによって、次に選ぶべき仕事や転職の難易度も変わってきます。
まずは「サービス業を辞めたい!」と思う主な理由について見ていきましょう。
土日や長期休暇に休めない
「今年も仕事で夏フェスに参加できなかった・・・」
「いつも私だけ予定が合わなくて友達と遊びに行けない・・・」
サービス業にとって、多くの人々が遊びに出かける週末や年末年始などの長期休暇は稼ぎどき。
時期をずらせば多少は休めるという職種もありますが、サービス業以外の友人や家族とは予定が合わせにくくなってしまいますよね。
「この日だけはどうしても休みたい!」
とシフトを調整していたのに、バイトのスタッフが体調を崩してしまい、泣く泣く出社することになったり・・・
勤めはじめたばかりなら我慢できても、この先10年、20年と続いていくと思うと、うんざりするのもムリはありません。
安月給で昇給も期待しづらい
あなたは今の年収に満足していますか?
残酷な事実をお伝えすると、サービス業や接客業の平均年収は業種別で見ると最下位。
一流ホテルのホテルマンや、高級デパートの販売員ともなれば世間一般の平均年収を上回ることもありますが、それはごく一部の人たちだけ。
大多数のサービス業従事者は、他業種と比べて低賃金で働いていることが多いです。
「お金だけが仕事じゃない!」
という考えも間違いではありませんし、収入以外のやりがいを見いだせるなら問題はないでしょう。
しかしながら、「どうせ働くなら、もっとたくさん稼げる仕事がしたい」と感じている人が多いのも事実。
5年後、10年後に大幅に年収が上がっているならまだしも、昇給を期待しづらい企業も多いですね。
サービス残業が多い
最近、定時で帰れた日はありましたか?
サービス残業の多さにうんざりしている人も多いです。
接客業は、基本的にお客様主体で動く仕事。
自分の担当した顧客の応対が長引くと、どうしても定時で仕事が終わらなかったり。
なかには大事な顧客の来店があると、休日でも呼び出される職場もあったり・・・
残業や休日出勤に対して手当がきちんと支給されるならまだしも、サービス残業が常態化している職場も少なくありません。
ただでさえ安月給で働かされているのに、プライベートの時間も削られてしまうなんて、苦行でしかありませんね。
クレーム対応がしんどい
接客メインの仕事に就いていると、どうしてもクレームに直面する機会は多くなりがち。
人とのコミュニケーションにおいて、誤解や齟齬(そご)はどうしても生まれてしまうものです。
友人や家族など対等な関係なら弁解したり言い返すこともできますが、顧客と従業員という立場の差があるとそれはできません。
どんなに理不尽なクレームでも頭を下げて謝らないとなると、精神的な負担も大きくなってしまうものです。
普段は接客業に楽しさを感じられている人も、ひどいクレームがあった日には「転職」という言葉が頭をよぎるのではないでしょうか。
毎月のノルマが厳しい
接客業のなかでも販売職はとくに、月々のノルマが定められていることも多いですね。
ひどい場合はノルマを達成しないと罰金が発生したり、自腹を切って商品を購入しないといけないことも。
そもそもプロモーションや商品企画などは別の人が担当しているのに、販売数だけで責任を取らされるなんて理不尽の極み。
罰金だけはきっちり取られるのに、ノルマを達成してもこれといったインセンティブをもらえない職場までありますから、ひどい話です。
自分の収入として還元されないノルマなんて、なかなかやる気が出ませんよね。
ノルマを達成できないことで上司に叱責されたり、ただでさえ低い収入から出費がかさむことにストレスを感じて接客業を辞める人はとても多いです。
スキルアップしづらい
接客業をしていると、人との会話や気遣いのスキルはメキメキと上がっていきます。
実生活でも役立つ能力ではありますが、実力をわかりやすく証明してくれる検定や資格はありません。
企業ごとに接客コンテストなどが開かれる場合もありますが、あくまでも社内での評価にすぎないためアピールにつながらないことも。
異業種への転職を意識したとき、「接客スキル」があまり重宝されないのも痛手といえるでしょう。
「サービス業界で10年経験を積みました!」
とアピールして魅力に感じてくれる企業は、あまり多くないのが現実です。
もちろん同業種への転職なら大きな強みになりますよ。
異業種への転職で失敗しやすい点
「いろいろ考えてみたけど、やっぱり今の会社にいても未来はない!」
「接客はもう飽きたから、オフィスワークに挑戦してみたい!」
いざ転職すると決意したとしても、異業種への転職は思っている以上に難しいものです。
ここからは、サービス業から異業種へ転職する際につまづきやすいポイントについて解説していきます。
転職活動で失敗しないように、ひとつずつ見ていきましょう。
基本のビジネスマナーに疎い
多くの接客業は法人ではなく個人向けの対応がメインなので、多少フランクな言葉遣いが許されるシーンも多いですよね。
法人向けビジネスがメインの他業種へ転職する場合、正しい言葉遣いは当然のことながら、電話の受け方やメールの書き方もマスターしておく必要があります。
エレベーターやタクシーの乗り方、会議中のお茶出しなど、ビジネスパーソンとして適切に対応できる自信はありますか?
接客業から中途で転職した人は、新卒時から企業向けのビジネスマナーを身につけた同世代と比べ、ビジネスマナーの面で出遅れてしまうことも。
一般的なビジネスマナーに自信がない方は、異業種へ転職する前に本やネットで勉強して、少なくとも「非常識」とは思われないビジネスマナーを身につけましょう。
パソコンスキルが低すぎる
オフィスワークメインの仕事に転職する場合、基本のパソコンスキルは必須。
「今まで仕事でパソコンを使う機会がほとんどなかった・・・」
「専用のシステムを操作してたくらいで、Excelはさっぱり・・・」
という方は、転職活動と並行して少なくともパソコンの基本操作は覚えておきましょう。
とくに経理や総務などの事務職に転職するなら、ExcelやWordは必須と考えてください。
業務内容によって求められるスキルはさまざまですが、最低でもWordなら図表やグラフを挿入した書類が作れるくらい、Excelなら四則演算の関数程度はマスターしておきたいところ。
1冊本を買って勉強するという方法もありますが、WordやExcelで迷ったとき、Googleで検索すれば大抵のことは解決策がすぐ見つかりますよ。
ブラインドタッチができるかどうか
ExcelやWordのスキルに加えて、ブラインドタッチもある程度のレベルになっておきたいですね。
「キーボードを見ながら、人差し指でしかタイピングできない・・・」
という状況だと入社後にドン引きされます。
ブラインドタッチができないだけクビにされることはないにしても、早急にスキルを身に着けないとまともな仕事はさせてもらえないでしょう。
無料でタイピング練習ができるサイトはたくさんありますので、自宅でブラインドタッチの練習をしておきましょう。
アピールできる強みが少ない
先ほどもご説明したとおり、サービス業は他業種で役立つスキルを身につけにくい職種です。
あなたがまだ20代なら「若さ」という最大の武器を使えますが、年齢が上がるにつれてこれといった強みのない人はどうしても選考で落とされやすくなります。
「いつかは接客業から抜け出したい・・・!」
と考えているなら、転職活動をはじめる前から資格やスキルアップに関する勉強をはじめたほうがよいでしょう。
サービス業から転職するためのコツ
「ビジネスマナーもパソコンスキルも自信はあるけど、転職先が見つかるか心配・・・」
「アピールできる強みがなにもないから、転職は諦めたほうがいいのかな・・・」
と不安に感じる人も多いですよね。
ここからは異業種への転職を成功しやすくなるコツについて詳しく解説していきます。
前向きな転職理由を考える
記事の前半でご紹介したように、サービス業を辞める理由は沢山あるものの、ほとんどの退職理由はネガティブになりがち。
「なんだかんだで月5日しか休めていない・・・」
「給与が低すぎて、まともに貯金すらできない・・・」
ネガティブな理由が転職活動の原動力になるのは決して悪いことではありませんが、面接でストレートに伝えることはおすすめできません。
後ろ向きな理由をそのまま伝えてしまうと、「採用しても何か嫌な部分を見つけてすぐに辞めてしまうのでは」と面接官にマイナスな印象を与えてしまいます。
「仕事とプライベートのメリハリをきちんとつけたい」
「スキルアップのためにも年収を上げたかった」
など、退職のきっかけは同じだとしても、面接官にポジティブな印象で伝わるように工夫することが大切です。
「あれもいやだ」「これもいやだ」と文句ばかり垂れている人材を採用したいと思う面接官はいませんよ。
スキルや知識を身につける
他業種への未経験での転職は、年齢が上がるにつれて厳しくなるものです。
転職したい業種・職種がすでに定まっているなら、仕事に役立つ知識やスキルを事前に身に付けるのがおすすめ。
事務系の職種であればパソコンスキルがあることを証明するために、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)の資格取得を目指してみてもよいでしょう。
サービス業で働いた経験しかなくとも、ほかにアピールできるスキルや知識があれば、年齢が多少高くても採用されるチャンスは増えますよ。
転職活動と並行しながら資格や語学を勉強して、求められる人材になるための努力をしましょう。
まずは派遣からスタートする
あなたは正社員として働くことにこだわりますか?
「絶対に正社員じゃないとイヤだ!」
という方にはおすすめできませんが、まずは派遣社員からスタートしてみるという選択肢もひとつです。
派遣社員なら、実務経験がなくても働かせてもらえる可能性は高くなります。
数ヶ月から半年程度、派遣社員としてオフィスワークを経験しておけば、サービス業からいきなり転職するよりハードルは下がります。
派遣を選んだ理由について面接で質問されても「実務経験を積むため」と伝えれば、マイナス評価になることはないでしょう。
さらにテンプスタッフなどの大手派遣会社であれば、直接雇用を前提とした紹介予定派遣の求人も豊富。
紹介予定派遣はとても人気が高いため、誰でも希望すれば働けるわけではありませんが、運が良ければ誰もが知っている大手企業で働けますよ。
「頑張っているけど、なかなか転職先が見つからない・・・」
という方は、まずは派遣からスタートすることも考えてみてください。
転職エージェントに相談する
「そもそもどんな会社を選ぶべきか迷う・・・」
「職務経歴書の書き方がよくわからない・・・」
転職活動の進め方そのものに不安を感じているなら、転職エージェントを頼ることもひとつ。
とくに未経験で異業種へ転職するとなると、わからないことも多いですよね。
転職エージェントは単に求人を紹介してくれるだけではなく、業界の内情なども詳しく教えてくれます。
「あなたの経歴なら、職務経歴書はこう書くべき」
「面接では○○の経験をアピールしたほうがいい」
とキャリアカウンセリングを通じて具体的なアドバイスももらえますよ。
まだどこにも登録していないなら、まずは大手で有名なところを利用してみてはいかがでしょうか。
サービス業からの転職は準備が肝心
「サービス業なんて誰でもできる仕事でしょ」
そんな風に考えている採用担当者は残念ながらたくさんいます。
「面接まで進めれば、接客業で磨いたコミュニケーション能力で切り抜ける自信がある!」
という人も、書類審査で落とされてしまっては元も子もありません。
接客業から異業種への転職を希望するなら、パソコンスキルを身に着けたり、仕事に役立つ資格を勉強するなど、事前の準備がとても大切ですよ。
転職エージェントのように無料で利用できるものは徹底的に使い倒して、あなたの希望に合った転職先を見つけましょう。