退職を考えている時、一番気になるのは「今辞めては周りに迷惑になる・・・」という思いですよね。
嫌いな上司やブラック企業には未練はなくても、お世話になった周りの人にはなるべく迷惑をかけずに退職したいものです。
しかし本来、会社を辞める立場のあなたが周りへの迷惑を気にするのは間違っています。
今回はその理由や、なるべく周りに迷惑をかけず退職する方法について、ご紹介していきます。
いつ辞めても少なからず迷惑はかかる
入社してから今まで、一つもやるべき仕事がなくて暇だったという日はありましたか?
よっぽどのことがない限り、そんなことはないはずです。
つまり、いつ辞めてもやるべき仕事は残り、あなたが辞めれば誰かが代わりにやらなければいけないということです。
繁忙期を避けたり、引き継ぎをしっかりしたりと、ダメージを軽減する方法はもちろんあります。
しかし、誰にも全く迷惑をかけずに辞めるのは無理だと思っておきましょう。
優先すべきは会社よりあなた自身
そもそも、転職や退職の時には会社よりもあなた自身の都合を優先するべきです。
会社はあなたがいなくなっても他の人員でカバーできますが、あなた自身はあなたの行動でしか身を守ることはできません。
周りの迷惑を気にして嫌な仕事を辞められなかったり、辞意を伝えているのに退職時期を引き伸ばされたりして、損をするのはあなた自身です。
転職・退職したいとはっきり決めたら、周りの都合を押しのけてでも自分の意思を通すのが大切です。
体を壊しても会社は守ってくれない
周りの迷惑ばかり気にして仕事を辞められず、体や心を壊してしまったとしても、会社はなんの保証もしてくれません。
休職や時短勤務が認められればいい方ですが、自己都合退職扱いで首を切られて終わりということも。
働けないほど体の調子を崩してしまっては、次の仕事を見つけるのも困難です。
失業保険は、自己都合退職の場合給付まで3ヶ月期間が空きますし、給付期間にも限度があるのではっきり言ってお先真っ暗です。
周りのことを気にしてそんな状況に陥る前に、無理せず働ける企業を探して転職しましょう。
辞めたいと思ったときに退職すべき
辞意を伝えるタイミングを考える時、「このプロジェクトが終わるまで」「○月の繁忙期を乗り切ったら」と、キリのいい時期を見計らう人が多いです。
しかし「携わっているプロジェクトが終わったら次のプロジェクトのリーダーに任命されてしまった」「繁忙期が終わったら他に退職者が出てしまった」など、予想外に辞めにくくなってしまうことも。
周りに気を使ってばかりいる人は、周りに出し抜かれたりいいように使われてしまいがちです。
退職・転職は自分自身の問題ですから、自分が辞めたいと思った時にキッパリ辞意を伝えましょう。
周りの迷惑を最小限にしたいなら、その後の話し合いで退職のタイミングを周りと擦り合わせればいいだけの話なのです。
労働者には退職する自由がある
会社によっては、「辞めたことで被った迷惑に対して損害賠償を請求する」と言い出す場合もあります。
しかしあなたが正当に辞意を申し出て正当に退職したなら、賠償責任は絶対に発生しないので安心してください。
民法627条1項では、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる」と退職の自由が定められています。
難しい言い回しですが、つまり正社員など雇用の期間がいつまでと決まっていない労働者は、いつでも退職を申し出ていいということです。
この申し出から2週間で雇用契約が終了するということも同じ法律で定められているので、極論「辞めます」と伝えて2週間後からは出社しなくても違法ではないのです。
もちろん、そのことで発生した迷惑や損害を賠償する必要もありません。
仕事選びは自分中心で考えるのが正解
一度その会社に入ったからといって、他の社員と一丸となって尽くし続ける必要はありません。
自分のスキルをもっといい環境で活かせると思ったら、自由に乗り換えていいのです。
海外では「自分のスキルと時間を、もっともいい値段で買ってくれる企業に売る」という考え方で就職する人も多いです。
今の仕事に不満がある方は、自分は会社の一部ではなく、自由に働ける一個人だということを思い出してください。
上司や同僚も所詮は赤の他人
上司も同僚も、たまたま今同じ会社に所属しているだけの一個人同士です。
あなたが辞めた後で周りの人の仕事が増えるとしても、それはあなたが仕事を放棄したせいではなく、会社が抱えている仕事が人数に合わせて分配され直すというだけです。
そう考えると、周りに迷惑をかける罪悪感が少しは軽くなりませんか?
もし周りはそうは思わず恨まれたとしても、そもそも会社を辞めてしまえば上司や同僚に会うことはありません。
心苦しくても「所詮は赤の他人」と割り切ることも、仕事を辞める時には大切なのです。
なるべく迷惑をかけずに退職する方法
とはいえ、周りへの迷惑は最小限にして、辞意を伝えてから退職まで円満に過ごしたいものですよね。
最低限の常識やマナーというものがほとんどですが、周りになるべく迷惑をかけずに退職する方法をご紹介します。
無断欠勤やバックレはしない
「もう辞めると言って2週間経ったから」と突然会社に行かなくなるのは、法律上は問題ありませんが社会人としては褒められた態度ではありません。
辞意を伝えると退職時期の打診が必ずあるはずですから、決められたその日まではきっちり出勤しましょう。
もちろん、辞める意思も伝えずにバックレてしまうのは問題外です。
次の仕事に就くときも、退職時に貰う源泉徴収票などの書類がないと不審がられますから、バックレだけは社会人としてやってはいけない行動です。
就業規則通りに手続きを進める
法律では辞意を伝えてから2週間後には辞められることになっていますが、会社によって就業規則はそれぞれです。
多くの会社では、退職の意思は1ヶ月〜3ヶ月前に申し出ることになっていると思いますので、円満に辞めたい場合には法律よりそちらを優先しましょう。
提出書類などの手続きも、就業規則通りに行うことで会社にかける迷惑が少なくなります。
業務の引継ぎは滞りなく進める
SNSなどで時々、「構築したシステムにバグを仕組んで退職した」「退職前にPCのデータを初期化した」など、ブラック企業への復讐譚を目にします。
もし会社への復讐心が強いなら個人の自由なので止めはしませんが、会社になんの恨みもなく、周りに迷惑をかけず退職したいなら引継ぎ業務はしっかり行いましょう。
自分が会社から抜けることで周りにかける迷惑を、もっとも軽減できるのが業務の引継ぎです。
仕事のやり方をしっかり人に教えておくことで、退職後に質問の連絡が来て煩わされるということも減るので一石二鳥です。
会社への不満や愚痴を吐かない
立つ鳥跡を濁さずということわざ通り、なるべく会社への愚痴や不満は口に出さずに退職しましょう。
周りの人は、あなたがいなくなった後もあなたが悪く言った会社で働いていくのです。
もし同じ不満を抱えていたとしても、事情があってすぐには転職できないという人もいます。
退職が決まったあなたがスッキリするためだけに吐く愚痴は、誰も幸せにしませんよ。
迷惑なんて考えず辞めたいときに退職を
繰り返しになりますが、誰にも一切迷惑をかけずに退職するのは無理なことです。
会社の一員として担っていた役割がある以上、あなたがいなくなった後は誰かがそれを代わらなければいけません。
ある程度迷惑はかかるものと割り切りつつ、周りへの負担を最小限にする努力が大切です。
周りがあなたを応援して送り出してくれるよう、できるだけ円満に退職したいですね。