大企業でリストラされたり、ルールに縛られた組織に嫌気がさすなどの理由で、新しい職場を求めて転職する方は少なくないでしょう。
しかし、新しい職場が中堅企業やベンチャーの場合は注意が必要です。
大企業での常識が通用しない場合も多く、場合によっては成果を出すどころか嫌われてしまうことにもなりかねません。
ここでは大企業から転職する際に注意すべき点を解説していきます。
中堅企業やベンチャーの主な特徴
大企業と中堅企業・ベンチャー企業との相違点は、企業規模が小さいということにとどまりません。
さまざまな面で、大企業と異なる点があります。
どのような違いがあるのか、確認していきましょう。
細かいビジネスルールが整備されていない
中堅企業やベンチャーでは、もちろん就業規則など、法令で定められた規則は整っています。
しかし大企業と異なり、細かいビジネスルールが整備されていないことも少なくありません。
このため、ビジネスルールに書かれていない事態に遭遇することも多く、臨機応変な対応が要求される場合もあるでしょう。
一人に任される仕事の範囲が大きい
中堅企業やベンチャーでは従業員数が少ないですが、これに比例して企業としての業務範囲が狭くなるわけではありません。
そのため、従業員一人一人に任される仕事の範囲は大きくなる傾向にあります。
縦割り組織でなく、さまざまな仕事を経験することができる点は、中堅企業やベンチャーの強みといえるでしょう。
何事も意思決定のスピードが速い
意思決定が速いことも、中堅企業やベンチャーの特徴です。
これは、決裁を受けるまでの段階が少ないことに関係しています。
少なくとも、10人近くの承認を得なければならないということはありません。
特に小規模の企業では、社員と社長は普段から会話を交わすことも多いでしょう。
なかには重要な案件でも、社長の「鶴の一声」で決まる場合も少なくありません。
新しい職場で猛烈に嫌われるタイプ
大企業から中堅企業やベンチャー企業に転職した際、残念ながら新しい職場で猛烈に嫌われてしまう方がいます。
どのようなタイプが嫌われるのか、解説していきましょう。
前の会社での常識をふりかざす
このような方は、新しい職場で最も嫌われる人といえるでしょう。
大企業から転職してきた方は、今まであなたが行ってきた仕事のやり方が常識と思いがちです。
しかしその方法は、その企業だけにあてはまるルールかもしれません。
そもそも仕事の進め方は各企業により異なり、またこれまでの業務ノウハウの蓄積によって決められてきたものでもあります。
その経緯を知ろうともせず、「前の会社ではこうだった」と言い続けても、まわりからは煙たがられるだけです。
ルールが異なることには理由がありますから、なぜそのようなルールになったのか、経緯を調べてみることをおすすめします。
このことにより、業務理解も深まりますから一石二鳥です。
規則にこだわるあまり仕事が遅い
さきほど説明した通り、中堅企業やベンチャーではビジネスルールが整備されているとは限りません。
その一方で、スピード感を持って臨機応変に対応すべき場面も多くあります。
このため、「規則がないから上司に確認」「社内手続きを済ませてから後日回答」ということをしていると、ビジネスチャンスを逃すことになりかねません。
いくら中堅企業やベンチャーでも、企業理念や業務の運営指針は決まっているはずです。
何かわからない点はこの方針に沿って決めるなり、電話で確認するなど、スピード感をもった対応が必要です。
自分の業務範囲しか仕事をしない
中堅企業やベンチャー企業では、ときどき誰が担当すべきかわからない職務が発生する場合があります。
この場合、大企業にいた時代の縦割り組織の感覚で「自分には関係ないから関わらない」という姿勢ではいけません。
少なくとも関心を持ち、以下のような発言をすることが必要となるでしょう。
- あなたができる仕事か
- あなたができない場合はその理由(時間がないのか、能力がないのか)
- この件について詳しい人、また一番早くできる人は誰か
- 人材育成という面で、任せるべき人はいるか など
ただでさえ中堅企業やベンチャーは従業員数が少ないのですから、お互いに助け合い、会社の発展に努めなければなりません。
部下の管理だけが仕事と思っている
これは大企業で役職に就いていた方が中堅企業等に転職した際に、注意が必要な点です。
大企業では従業員が多いですから実務は部下が全部やってくれて、上司は管理と指示だけしておけばよいという場合もあるでしょう。
しかし中堅企業やベンチャーでは、上司といえどもプレイングマネージャーとしての働きを求められます。
このため第一線で業務をしながら、部下の管理や指示もしなければなりません。
特にベンチャー企業の場合は、社長自ら営業に出ることも少なくありません。
このような職場でひたすら机に座っているようなことがあれば、すぐに叱責を受けることになるでしょう。
新しい職場では率先して学ぶ謙虚さを
「郷に入っては郷に従え」という言葉もあるように、会社が100社あれば、100通りの仕事の流儀があります。
そのことを理解せず、「その仕事の進め方はおかしい。前職ではこうだった」と言っても、周りの人は耳を貸しません。
仕事の進め方のルールには必ず理由がありますから、おかしいと思ったらなぜなのか、その背景を学ぶ姿勢が求められます。
また中堅企業やベンチャーでは、管理職でもプレイングマネージャーとしての動きが求められます。
ただ管理や指示をしているだけの管理職は不要ですから、特に役職に就いている方が再就職する際には注意が必要です。
いずれにしても中堅企業やベンチャーでは、細かいルールに縛られるのではなく、業績を上げるためにはどうすればよいか?という本質的な点を踏まえた行動が求められます。
もちろん法令遵守は当たり前ですが、転職してきた方には積極的かつ臨機応変な対応が求められますから、よく心得えておくことをおすすめします。