既婚者は配偶者控除と配偶者特別控除を理解しよう

結婚は人生の墓場だという人がいます。一部同意せざる得ない私ですが、あなたはいかがでしょうか。

仕事から疲れて帰ってきて、家でも配偶者に文句を言われて、私たちはいったいどこへ向かえばいいのでしょうか。

色々と不自由や不都合が増えることになる結婚生活。

何もデメリットばかりではないと思うのです。

例えば税負担において、結婚されている方でお相手が家庭に入っている場合、配偶者控除というものを受けられる可能性があります。

今回は配偶者控除と、あわせて理解しておきたい配偶者特別控除というものについてご説明します。

配偶者の年収が103万円以下なら配偶者控除を

配偶者の年収が103万円以下なら配偶者控除を

そもそもの言葉の説明から入りますが、「控除」というのは簡単にいうと税金の負担が小さくなるということです。

配偶者というのは結婚相手のことですね。

つまり結婚している人は税金の負担が少なくなるよ、ということです。

ただ、結婚している人すべてに適用されるわけではなく、配偶者控除を利用するためにはいくつかの条件を満たす必要があります。

その条件は以下4点です。

配偶者控除を利用するために必要な条件

配偶者控除を利用するために必要な条件

  • 民法の規定による配偶者であること。(内縁関係の人は該当しません。)
  • 納税者と生計を一にしていること。
  • 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
    (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

その年の12月31日の時点で上記4点すべてを満たしている場合、配偶者控除を利用できます。

それぞれの表記がいちいちわかりづらいので、簡単に説明していきます。

民法の規定による配偶者であること

民法の規定による配偶者であること

単純に結婚相手、と書いてくれないところがわかりづらいですよね。

民法の規定による配偶者というのはつまり、市区町村の役場に婚姻届を提出して、正式に結婚が受理された相手のことをいいます。

民法には以下のように記載されています。

民法第739条

婚姻は、戸籍法 (昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

内縁者という表現についても説明しておくと、実質的に夫婦として生活しているけれど、婚姻届は出していないので正式に夫婦として認められていない相手のことをいいます。

要するに配偶者控除というのは、きちんと婚姻届を出して正式に夫婦として認められている相手しか対象にしませんよ、ということです。

納税者と生計を一にしていること

納税者と生計を一にしていること

これもわかりづらい表現ですよね。

どこもかしこもお役所というのは、どうして調べないとわからない表現を使うのでしょうか。

国税庁がきちんと正式に解説していたので載せておきます。

「生計を一にする」とは、必ずしも同居を要件とするものではありません。例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

基本的には、一つ屋根の下で一緒に生活していれば、生計を一にしていることと判断されます。

上記解説にあるように、たとえ別居していたとしても休みの日には一緒に過ごしていたり、生活費などのお金のやりとりがある場合、生計を一にしていることと判断されるようです。

年間の合計所得金額が38万円以下であること

年間の合計所得金額が38万円以下であること

年収38万以下なんてクソ低年収じゃないか!

と思われた方、落ち着いてください。

所得金額と書かれているところがミソです。

一般的な給与収入として考える場合、年間103万円以下であれば配偶者控除の対象となります。

所得というのは収入から給与所得控除額(65万)を適用した場合の金額のことです。

基本的には年収が103万円以下であれば問題ない、と考えていただいて問題ありません。

ちなみに合計所得金額について、正式な解説としては以下の内容になります。

合計所得金額とは

純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失、特定投資株式に係る譲渡損失及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等の配当所得(上場株式等に係る譲渡損失との損益通算後の金額)、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。

高校の国語の授業で習った古文かと思うくらいに漢字まみれで、何を書いているかも意味不明ですね。

ざっくり説明すると、パートやアルバイトなどの収入以外に株やFXなどでお金を稼いでいたり、そもそも家賃収入が他にあったり、インターネットのアフィリエイトでお小遣いを稼いでいたりする場合、それらで儲けたお金も含めますよ、ということです。

青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと

青色申告や白色申告というのは、個人事業主として開業しているかどうかということです。

配偶者の合計所得金額は38万円以下だけど、個人事業主として仕事をしていました、という場合は配偶者控除が適用できません。

個人事業主と表現するとわかりづらい方もいるかもしれませんが、主にフリーランスとして仕事をされている方、株式会社など法人化せずにお店をされている方などが該当することになります。

配偶者控除でどれだけ税金が安くなるの

配偶者控除でどれだけ税金が安くなるの

上記で説明した4つの条件を満たしていた場合、どれだけの控除を受けられるのか。

以下の表をご覧ください。

区分 控除額
一般の控除対象配偶者 38万円
老人控除対象配偶者 48万円

一般的に若い世代と言われる方であれば、一般の控除対象配偶者扱いになり、38万円の控除を受けられます。

老人控除対象配偶者というのは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日時点で70歳以上の人が対象となります。

また、配偶者の方が障害をお持ちの場合、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できることになっています。

配偶者の年収が103万を超えたら配偶者特別控除を

配偶者の年収が103万を超えたら配偶者特別控除を

ここまでご理解いただけたでしょうか。

書くことが多すぎて既に疲れてきましたが、もう少し説明しないといけないことがあるので引き続き頑張ります。

さて、配偶者の年収が103万円を超えた場合、配偶者控除は受けられないのですが、配偶者特別控除という制度もあるのです。

配偶者控除に比べると、稼いだ金額に応じて控除金額が少なくなっていくのですが、ここもきちんと理解しておきましょう。

配偶者特別控除を受けるために必要な条件

配偶者特別控除を受けるために必要な条件

先ほどご説明したわかりづらい表現が再登場します。

  • 控除を受ける人のその年における合計所得金額が1千万円以下であること。
  • 配偶者が、次の五つの全てに当てはまること。
    民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
    控除を受ける人と生計を一にしていること。
    その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
    ほかの人の扶養親族となっていないこと。
    年間の合計所得金額が38万円超76万円未満であること。

合計所得金額1千万円以下は説明不要でしょうか。

たっぷり稼いでいる人に控除なんて必要ねえ!というのが国税庁の見解です。

わかりづらいのは「ほかの人の扶養親族」という表現ですよね。ご説明します。

ほかの人の扶養親族となっていないこと

ほかの人の扶養親族となっていないこと

簡単に言ってしまうと、配偶者が親の扶養に入っていないか、ということです。

一般的に扶養親族というのは自分の子どもであったり、既に仕事を辞められている高齢の両親が該当します。

国税庁に記載されている扶養親族についての説明は次の通りです。

扶養親族とは、その年の12月31日の時点で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
  • 納税者と生計を一にしていること。
  • 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
    (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

特別な事情もなく、普通に結婚された方であれば、この項目は無視しても問題ありません。

扶養控除というまた別の控除を利用するときに、この扶養親族というものをきちんと理解しておく必要があるのですが、またそれは別の機会に。

配偶者特別控除で控除される金額

配偶者特別控除で控除される金額

配偶者控除の場合、高齢の方を除いて38万円となっていた控除金額ですが、配偶者特別控除では配偶者が稼いだ金額に応じて控除金額が変動します。

以下の表をご覧ください。

収入 所得 控除額
103万円~105万円未満 38万円~40万円未満 38万円
105万円~110万円未満 40万円~45万円未満 36万円
110万円~115万円未満 45万円~50万円未満 31万円
115万円~120万円未満 50万円~55万円未満 26万円
120万円~125万円未満 55万円~60万円未満 21万円
125万円~130万円未満 60万円~65万円未満 16万円
130万円~135万円未満 65万円~70万円未満 11万円
135万円~140万円未満 70万円~75万円未満 6万円
140万円~141万円未満 75万円~76万円未満 3万円
141万円以上 76万円以上 0円

再度の説明になりますが、所得というのは収入から給与所得控除額(65万)を適用した場合の金額。

基本的に収入だけを見ていただければ問題ありませんが、別途不動産や株などで儲けている場合はそれらの金額も含めて考えていくことになります。

配偶者の収入が141万円を超えると、配偶者特別控除は0円になるということです。

ちゃんと稼いでいるんだから控除はいらないでしょ?という考えです。

ちなみに年収が130万円を超えた段階で、配偶者特別控除は適用されますが、扶養家族からは外れることになります。

扶養親族やら扶養やら、いろいろな用語が出てきてわかりづらいですね。

配偶者控除の正しい知識を

配偶者控除の正しい知識を

結婚されている方で、配偶者の方の年収がそこまで多くない場合、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる可能性が高いです。

払っていないときには催促されるのに、多く払っていた分については必要な手続きを踏まない限り返してくれないのが税金です。

配偶者控除は結婚されている方が対象になりますが、正しい知識を持って必要以上に税金を払うことが無いようにしたいですね。

ちなみに配偶者特別控除の場合、年末調整の際に申告書を勤務先に提出する必要がありますので、社内の担当者に必要書類をもらいましょう。

結婚は地獄?いえいえ、税金の負担が小さくなるという点においてはメリットもありますよ。

共働きの場合は関係ないですけどね。

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