万全な体調管理も社会人の努めですが、実際に体調が悪くなってしまった時は仕方ありません。
早めに会社に連絡してしっかりと治したいですが、あなたの上司はすんなり休ませてくれそうですか?
もし違うなら、その上司の対応は労働基準法違反やパワハラに該当するかもしれません。
今回は、体調不良で会社を休む時にはどんな対応が常識なのかについて解説していきます。
風邪や体調不良で休むための基礎知識
風邪や体調不良で休みたいとき、どんなことをすればいいか知っていますか?
こちらが非常識な対応だと、上司が怒ってしまうのも当然です。
まずは風邪や体調不良で会社を休む時の基礎知識を知っておきましょう。
早めに上司に連絡を入れる
朝起きて出社できない体調だと思ったら、なるべく早めに上司に連絡を入れましょう。
欠勤の連絡は、メールやLINEではなく電話でするのが常識です。
電話がかけられないほど体調が悪かったり、意思疎通が難しいほど声が出ないのではない限り、電話で連絡した方が誠意が伝わります。
ただし、あまりにも朝早く電話しても会社に人がいませんし、上司の携帯に早朝から電話をかけるのも気が引けます。
とはいえ業務開始後に欠勤連絡をするのでは遅すぎますから、上司が出勤して机に着く頃、始業の30〜10分前ごろに電話を入れるのがおすすめです。
体調不良で欠勤を申し出る時は、「現在の状況」「休んでもいいかどうかのお伺い」「謝罪や感謝」という形で告げましょう。
普通の上司であれば、普段出社する時間にあなたがおらず、体調の説明を始めた時点で(病欠だな)と察して「いいよ」と答えてくれるでしょう。
いきなり「今日は休ませてください」と言って、「なぜ?」「体調が悪いので…」というやりとりになるよりスムーズです。
また、自分の業務を誰かに代わってもらう必要がある場合、その人にも直接連絡を入れて引き継ぎをしておくのがおすすめです。
病院で医師の診断を受ける
体調不良で欠勤することを告げると、場合によっては上司から「後日診断書を提出するように」と言われることがあります。
ズル休みを防ぐためだったり、病欠は特別休暇になるためという理由があったり様々ですが、会社によっては就業規則で決まっている場合も。
特に診断書を求められなくても、病欠をしたら医師の診断を受け、結果を報告するのが社会人の常識と考える人もいます。
自分ではただの風邪だと思っていたのに、実はインフルエンザなどの感染症だった、というケースを考えると、感染拡大を防ぐためにも医師の判断が必要です。
会社に欠勤以上の迷惑をかけないためにも、念のために病院へ行って医師の診断を受けましょう。
有給休暇は理由なく使える
上司によっては、「有給は事前に申請しないと取れない」「病欠は有給休暇にはならない」などという人がいるかもしれません。
その言葉は根拠があるものではなく、上司の思い込みや感情論から出ているものなので安心してください。
そもそも有給休暇を取る時、その理由が原因で却下するのは違法です。
何らかの理由で体調不良であることを告げたくない時には、プライバシーなので言わなくてもいいのです。
もし、上司や同僚に知られたくない病気で欠勤したい場合は、ただ「有給休暇を使いたい」とだけ告げれば休むことができます。
逆に「有給休暇を取る」という宣言をしないと無断欠勤や病欠扱いになってしまうので注意しましょう。
とはいえ「休みたい」と告げれば理由を聞かれるのは必然ですし、却下されたからといって「労基法違反だ」と噛み付くのは上司との関係を考えるとおすすめできません。
当日に欠勤すると周りに迷惑をかけてしまうのは事実ですから、真摯な謝罪と丁寧な言葉遣いでどうにか有給を認めてもらいましょう。
風邪でも休ませてくれない会社は多い
人の体調に対して文句を言ったり、病気なのに出社を強要する会社は、はっきり言って普通ではありません。
しかし、普通ではない会社も世の中には意外と多いのです。
「風邪程度なら這ってでも来い」という会社は、どこが問題なのかについて解説していきます。
会社や上司があまりにも非常識
上司の中には、「風邪は根性で治せる」「体調が悪くても仕事を優先するのが社会人」など独自の持論がある人もいます。
もしかしたら上司自身はそうして無理をしてきたのかもしれませんし、上司が会社からそれを強要されている可能性もあります。
常識や法律、時代感にそぐわない考え方でも、非常識な上司や会社を一人の部下が説得して変えるのはほぼ不可能です。
そういった会社からは早々に転職を考えるか、常識的な人たちが一丸となって非常識を正していく必要があります。
困ったときはお互い様と思って、同僚の体調が悪い時には「うつされても迷惑」「一旦休んで早く治した方が効率がいい」などフォローをしていくと、徐々に体調不良で休みやすい環境になるかもしれませんよ。
労働基準法第5条
労働基準法の第5条に「強制労働の禁止」という条文があります。
「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない」
つまり、出勤したくないと言っている人を、脅したり叱ったりして無理に働かせてはいけないということです。
どうしても持論を曲げない非常識な上司には、関係を悪くする覚悟でこの条文を突きつけてみるといいかもしれません。
フォロー体制がないことが問題
病気や事故、その他の理由で社員が欠勤するのは、いつでも考えられることです。
それが原因で仕事が回らないのは、社員のせいではなく社員を管理する上司のマネージメント力が足りないということになります。
有能な上司なら、誰かが欠けてもバックアップ案を用意しておいたり、その時その時で臨機応変な対応を考えることができます。
もし体調不良で休むことを上司から責められても、「あなたの能力不足です」という気分でいれば必要以上に責任を感じずダメージを和らげることができますよ。
ただしそれを実際に口や態度に出すと心象が悪いので、表面上は殊勝に謝っておくのがおすすめです。
病状が悪化してしまうことも
体調が悪い時に出社する一番大きなデメリットは、無理をして病状が悪化してしまうことです。
一日休んで寝ていれば治る風邪も、無理に出社したのが原因で熱が上がったり、肺炎など深刻な病気に発展してしまう場合も。
病状が悪化すれば余計に休む日数が増えたり、仕事の効率も下がってしまいます。
体調が悪いのに出社を強要する上司や会社には、そのことを説明して「明日には絶対に治して出社します」と訴えれば休みやすくなるかもしれません。
インフルエンザやノロウィルスは要注意
インフルエンザやノロウィルスなどの感染症は、ただの風邪とは事情が違います。
症状が治っても体内に菌が潜伏しているので、感染拡大を防ぐために通常より長い期間休まなければいけません。
感染症にかかった時には、どんな対応をすればいいのかについて解説していきます。
一般的な出勤停止期間とは
インフルエンザの場合、一般的な出勤停止期間は「解熱後2日間」です。
熱が下がった次の日を0日と考え、その3日後から出社できます。
インフルエンザは空気感染する病気なので、インフルエンザウィルスが体内に残った患者と接触するだけで感染する可能性があり、症状が治っても出社はできません。
病院で治癒証明書をもらわないと出社できない、という会社もあります。
ノロウィルスは、法律で出勤停止期間が定められていません。
ノロウィルスは空気感染せず、吐瀉物や便に触れない限り感染しないので、症状がなくなり仕事ができる状態になったら出社可としている会社が多いです。
ただし飲食店や食品関連の会社では「便からノロウィルスが確認されなくなるまで」という規定になっている場合が多く、通常より出勤停止期間が長くなります。
自分が感染源となってしまう
インフルエンザやノロウィルスにかかった社員が出勤停止になるのは、何より社内での感染拡大を食い止めるためです。
無理を押して出社し、周りにウィルスを振り撒いてしまうと、感染者が続出して会社自体が機能しなくなる可能性もあります。
感染症にかかってしまったら、「休むと周りに迷惑をかけてしまう」などとは考えず、しっかり休んで治すことに専念しましょう。
戦力にもなれず迷惑をかける
そもそも、インフルエンザで高熱が出たり、ノロウィルスで嘔吐や下痢が続いていると、仕事に集中できず戦力になりません。
無理に出社しても周りに迷惑をかけ、結局「今日は帰って休め」と言われる可能性大です。
フォローが必要なほど酷い体調で出社しても、「無理を押して頑張っている」と評価する人なんていません。
無駄に体力を消耗したり周りに迷惑をかけないためにも、出社が無理そうだと思ったら最初から休んでおくのが得策なのです。
体調不良で休めない会社に未来はない
体調不良が理由での欠勤を渋る会社は、正直言ってまともな会社ではありません。
他の部分でも会社の体質に問題があるケースがほとんどなので、そういった会社からは早めに離れたほうがいいでしょう。
体調管理は社会人の義務でもあるので、上司から一言ふた言お説教をされたからといって過剰反応する必要はありませんが、病欠連絡の時の対応で会社の本質が見えるかもしれませんね。
今の会社で働き続けるべきか、体調が回復したらじっくり考えてみてください。