ハローワークで失業手当の手続きを進めたいと考えているけど、失業手当っていくらぐらいもらえるものなのでしょうか。

先にお伝えすると、そんなにたくさんはもらえません。

今回は失業手当がどれくらいもらえるのか、目安となる金額を確認するための方法についてご紹介します。

※失業手当の正しい名称は雇用保険ですが、わかりやすさからこの記事では失業手当と記載しています

失業手当の計算に必要となるもの

まず、失業手当を計算するために必要となるのは、退職前の直近6カ月に支払われた給与の計算です。

正式には、「退職した日の直前6カ月に毎月決まって支払われた賃金」とされていて、ボーナスなどの賞与分は含めずに考えます。

あくまで毎月いくらもらっていたか、が重要です。

既に退職している人であれば、離職票-2に記載されている情報を見ればわかりやすいですね。

雇用保険被保険者離職票-2

これから退職される方の場合、気を付けるべきポイントがあります。

それは手取りの金額を計算するのではなく、額面給与を基準に考える必要があること。

そして、給与と一緒に交通費や住宅手当などが支払われていた場合、それらの金額も加えて計算する必要があるのです。

何を含めて、何を含めないか、については以下を参考にしてください。

  • 含めるもの:基本給、交通費、残業代、休日手当、住宅手当、家族手当など、毎月支払われていた金額
  • 含めないもの:ボーナス、祝い金、退職金など、臨時で支払われた金額

退職した後にもらえる離職票-2にも、額面給与と交通費などを足した金額が記載されているはずです。

もし計算が違う、という場合は早めに会社へ確認をしましょう。

基本手当日額を計算するための準備

失業手当の1日あたりの金額を「基本手当日額」といいます。

これを計算するための最初のステップとして、先ほど調べた直近6カ月に支払われた額面給与+交通費(ボーナスは除く)の合計を180で割って「賃金日額」と呼ばれる数字を算出します。

例えば額面給与が25万円で、毎月の交通費がちょうど1万円だったとしましょう。

その場合の計算式は以下の通りです。

(250,000+10,000)×6=1,560,000

1,560,000÷180=8,667

賃金日額は8,667円であることがわかりました。

失業手当って毎日9,000円近くもらえるんだ!と思われた方、甘いです。

まだ計算は続いていきます。

賃金日額の45~80%が基本手当日額になる

先ほど計算した賃金日額の金額の45~80%が基本手当日額になります。

つまり1日あたりもらえる金額のことです。

45~80%と幅が大きく設定されていますが、これは賃金の低い方ほど高い率になるように設定されています。

そしてたくさん稼いでいた人ほど、あまりもらえないようになっているのです。

後程詳しくご説明しますが、年齢によっても変動する仕組みになっているのです。

加えて、基本手当日額は年齢ごとに上限額も設定されています。

平成28年8月1日の時点での金額の以下の通りです。

年齢 基本手当日額の上限
30歳未満 6,370円
30歳以上45歳未満 7,075円
45歳以上60歳未満 7,775円
60歳以上65歳未満 6,687円

上限だけではなく、下限額についても設定されています。

賃金日額下限額 基本手当日額下限額
2,300円 1,840円

基本手当日額の計算式

基本手当日額の計算式

先ほど算出した賃金日額を、年齢ごとに設定されている割合の計算式に当てはめていくことで、基本手当日額を確認できます。

ここから計算がややこしくなっていきますので覚悟してください。

念のため基本的な計算方法をおさらいしておきましょう。

まず厚生労働省の記載にならって、ここでは賃金日額をwとしています。

中学生の頃の数学の授業で出てきたxやyみたいなものと思ってください。

0.8wという記載は、賃金日額(w)×0.8という計算をするということです。

続いて以下のような記載はどうように計算すればよいでしょうか。

(-3w+69,980)w÷70,300

賃金日額(w)が8,000円だった場合、以下のような計算になります。

まずはカッコの中から計算していきます。

-3×8,000=-24,000
-24,000+69,980=45,980

45,980×8,000=367,840,000

367,840,000÷70,300=5,232

以上の計算から基本手当日額は5,232円であることがわかりました。

暗算が得意な方でない限り、電卓を使われることをおススメします。

30歳未満65歳以上の場合

賃金日額(w) 基本手当日額
2,290円以上4,580円未満 0.8w
4,580円以上11,610円以下 (-3w+69,980)w÷70,300
11,610円超12,740円以下 0.5w
12,740円超 6,370(上限金額)

30歳以上45歳未満の場合

賃金日額(w) 基本手当日額
2,290円以上4,580円未満 0.8w
4,580円以上11,610円以下 (-3w+69,980)w÷70,300
11,610円超14,150円以下 0.5w
14,150円超 7,075(上限金額)

45歳以上60歳未満の場合

賃金日額(w) 基本手当日額
2,290円以上4,580円未満 0.8w
4,580円以上11,610円以下 (-3w+69,980)w÷70,300
11,610円超15,550円以下 0.5w
15,550円超 7,775(上限金額)

60歳以上65歳未満の場合

賃金日額(w) 基本手当日額
2,290円以上4,580円未満 0.8w
4,580円以上10,460円以下 (-7w+126,140)w÷117,600
0.05w+4,184
上記いずれかの低い方
10,460円超14,860円以下 0.45w
14,860円超 6,687(上限金額)

いずれも平成28年8月1日時点の数値です。

これらの割合は厚生労働省が毎年夏に発表しており、年々数値が少しずつ変動しています。

最新のデータを確認されたい方は厚生労働省のサイトを見てみるか、ハローワークへ問い合わせてみてください。

雇用保険の基本手当日額」で検索すると、最新のデータを見られるはずです。

最後に給付日数を確認

最後に給付日数を確認

無事に基本手当日額の計算はできたでしょうか。

最後に給付日数、つまり最大何日分の失業手当をもらえるのかを確認すれば、おおよそもらえる失業手当の総額が見えてきます。

給付日数は会社都合退職なのか、自己都合退職かによって大きく変わります。

自己都合退職の場合の給付日数

被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
65歳未満 90日 120日 150日

自己都合退職や懲戒解雇の場合、雇用保険への加入期間が1年未満だった場合、失業手当をもらうことはできません。

転職してすぐ辞めてしまった場合などは注意が必要です。

さらに自己都合で退職した場合、3ヶ月の給付制限があります。

退職してすぐに失業手当が振り込まれる、ということはありませんのでご注意ください。

失業手当をもらえるかどうか怪しい……という方はこちらの記事もご覧ください。

会社都合退職の場合の給付日数

被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 150日 180日 210日 240日

会社都合による退職は、正式には特定受給資格者と呼ばれています。

雇用保険の加入期間が6ヶ月以上あれば、加入期間が1年未満であっても失業手当をもらえるのです。

自己都合退職であっても、会社の状況次第では特定受給者として認められることがありますが、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

失業手当を正しく計算して退職後の生活は計画的に

失業手当を正しく計算して退職後の生活は計画的に

色々な計算式が出てきて、数学や算数が苦手な方には辛い内容になってしまったかと思います。

失業手当を正しく計算して、おおよそどれくらいもらえるかが把握できていると、会社を辞めた後の生活も計画的に考えることができます。

何度もハローワークに通ったり、いくつもの書類を作成して提出したり、失業手当をもらうには面倒に感じることも多いです。

それでももらえるものはきっちりもらうべきです。

これから退職を考えている方、既に会社を辞められた方。

もらえる失業手当はきっちりもらって、次のステップへの準備を進めてもらえたらと思います。

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