会社を辞めたいという相談をした際、上司から良い顔をされることは少ないでしょう。
しかし事前に十分な準備をしておくことで、職場から暖かく送り出されるようにすることは可能です。
今回は、あなたが円満退職をするために必要なポイントを解説します。
近いうちに退職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
円満退職のために知っておきたい基礎知識
円満退職をするためには、いくつかのポイントがあります。
大きく分けると、以下の2つが挙げられます。
- 退職を切り出すべきタイミング
- 退職時期の検討
退職の相談は、上司に時間を作ってもらい、会議室等の個室で行うことがベストです。
「お話したいことがあるので、お時間をいただけないでしょうか」等と打診すると良いでしょう。
また目標とする退職時期にあわせて相談すべきタイミングがありますので、順に詳しく説明していきます。
退職時期の検討については、ご自身の収入を最大化する、有給をできるだけ消化するというだけでなく、仕事の引継ぎも考える必要があります。
もちろんご自身のことは大切なのですが、残された人ができるだけスムーズに業務を遂行できるよう、きちんと引き継ぎをすることも重要です。
上司に退職の相談をすべきタイミング
上司に退職の相談をする場合、適したタイミングがあります。
それはいつなのか、詳しく解説していきましょう。
契約社員の場合は、契約更新の1~2ヶ月前くらいに相談
契約社員の場合、契約途中で退職できる場合は以下のいずれかに限られます。
- やむを得ない事由がある場合
- 会社と従業員が退職に合意した場合
そのため、契約更新時を退職時期とするなら、最終出勤予定日の1~2ヶ月前くらいに相談すると良いでしょう。
正社員の場合は、退職の1~2ヶ月前くらいに相談
正社員の場合、2週間前に会社に申し出れば退職できるといわれています。
民法では期間の定めのない雇用契約については、解約の申し入れ後、2週間で終了することとなっており、会社の同意がなければ退職できないというものではありません。(民法第627条)
しかし給与の支払形態によっては、必ずしもそうではありません。
例えば月給制の場合は、給与計算締め日のおおむね15~16日以上前に退職を申し出なければならないことになっています。
また業務の引継ぎの都合もありますから、退職の1~2ヶ月前に相談すれば円滑に退職できるといえるでしょう。
転職先を決めてから退職相談を切り出す
転職を前提としている場合は、転職先を決めてから退職相談を切り出すようにしましょう。
会社を辞めてすぐに次の仕事を始められますし、あなたが退職したいという確固たる意思を伝えることができるでしょう。
また退職を切り出すまでは仕事を続けることができますから、収入も保障されます。
転職先を見つけていない状態で退職する場合、収入が途絶えた状態での転職活動を余儀なくされることになります。
場合によっては生活のために、今よりも悪い条件での就職をせざるを得なくなるかもしれません。
退職届を出さなくても会社を辞められる場合がある
契約社員など有期契約の場合は、契約更新がされない限り働き続けることはできません。
この契約更新の判断は会社だけではなく、従業員も行うことができます。
従って従業員が契約更新をしなければ、契約満了日をもって会社を辞めることになります。
もちろんこの際、退職届は必要ありません。
上司に退職の相談をしたけれどもうまくいかない場合は、この方法を使えば会社を辞めることができます。
契約満了日以後は労働契約が無い状態ですから、働く義務はありません。
退職時期はよく検討して決めよう
せっかく退職するのですから、少しでも手元に入ってくるお金を増やしておきたいものです。
退職のタイミングを誤って損をすることがないように、退職時期を決めるポイントについて詳しく解説します。
ボーナス支給のタイミングを考えて退職
多くの企業では、ボーナス支給には「支給日時点で在籍していること」等の条件があります。
そのため支給日以前に退職してしまうと、支給されるはずのボーナスがもらえなくなってしまいます。
ボーナス支給のタイミングを考えて退職する必要があります。
1〜4月までの退職は、住民税の天引き額に注意
就職後ある程度の期間が経過すると、給与から住民税が天引きされるようになります。
1月から4月までに退職する人の住民税は退職時の給与から差し引き、会社が一括して納付するように地方税法により定められています。
特別徴収義務者が給与の支払を受けないこととなった場合、その事由がその年の翌年の1月1日から4月30日までの間において発生した場合には、その年の5月31日までの間に支払われるべき給与又は退職手当等で、当該月割額の全額を徴収し、徴収した月の翌月10日までに、これを当該市町村に納入しなければならない。(一部要約)
この天引きは、従業員も会社も拒否することはできません。
あらかじめ住民税の天引き額を見越して、退職後の資金計画を立てることが必要です。
有給消化も忘れずに退職日の調整を
有給休暇は会社に在籍している間に使用できるものですから、退職日前に使い切ってしまわないと損をします。
働かなくても収入が入ってくる制度ですから、有給を全て使い切った後の日を退職日として設定すると良いでしょう。
退職金が支給される場合は退職時期の調整も検討
企業によっては退職金が支給される場合がありますが、この支給基準は就業規則等で定められています。
その基準の多くは、入社後の年数で決まる仕組みになっています。
あと1ヶ月働けば勤続年数が10年に達するなど、退職時期を伸ばすことでより多くの退職金をもらえる場合は、退職時期の調整を検討しましょう。
仕事の引継ぎに必要な期間も考慮する
あなたの担当していた業務が誰でもできるものならばともかく、あなたしか把握していないことも少なからずあるでしょう。
そのため、あなたが退職してからも業務がスムーズに遂行できるように、きちんと引継ぎをしておくことが望ましいでしょう。
引継担当者に説明するための、マニュアルや引継書を作成する等の方法がありますので、上司とよく相談して決めてください。
また最終出勤日までに仕事の引継ぎを完了しておかなければなりませんから、引き継ぎのスケジュールを考慮して退職日を決定することも大切です。
会社とのトラブルを避けて円満に退職を
ここまで、円満退職についての基礎知識を説明してきました。
上司とのトラブルや会社のことが嫌いで退職するという理由もあるかもしれません。
しかしできれば不要なトラブルは避け、円満に退職することが望ましいものです。
この記事を参考にして、トラブルなくスムーズに退職できるようにしていただければと思います。
円満に退職できた際には、送別会を開いてもらえたり、離職後も人的つながりが残るものです。
前職と良い関係を築いておくと、何かあったときに助けてもらえたりメリットが多いです。
あなたの今後の社会人生活のためにも、できるだけ円満な退職になるよう心掛けましょう。