配偶者の年収が103万円以下だった場合に、税金の負担が小さくなる配偶者控除。
配偶者の方が専業主婦・主夫だったり、パートやアルバイトとしてお仕事をされている場合、配偶者控除を活用していることが多いと思います。
誰だって税負担を小さくできるならしたいものですが、今、政府が配偶者控除をなくしてしまおうという動いているのをご存知でしょうか。
早ければ2018年1月には配偶者控除がなくなる、という話も出ているようです。
なぜそんなことが進んでいるのでしょうか。
まだはっきりとしていないことも多いのですが、概要についてご説明します。
建前上は女性の社会進出を促進するため
政府の言い分としては、配偶者控除を受けられる103万円の壁が女性の社会進出の妨げになっていると。
厳密には、配偶者控除を受けられるのは女性に限定されていないんですけどね。
配偶者控除を受けられるようにシフトを少なくしたり、働くことを制限される方も多いですからね。
それに配偶者控除は専業主婦・主夫を優遇しすぎているという意見もあり、フルタイムで仕事をしている人からすると不公平に思われていたのも事実なのです。
配偶者控除は1961年に創設された制度。
時代も変わってきて、今では共働き夫婦が当たり前になってきていることもあり、税金の制度も時代に合わせて変えていきましょう、ということです。
本音は税収を増やすため
配偶者控除を廃止するのは税収を増やしたいからです!なんてことを言ったら、次の選挙で勝てなくなってしまいます。
直接は言えないからこそ、女性の社会進出という建前を上手に使いっているのでしょうね。
とはいえ実際問題として、今は労働人口が年々減少している時代。
政府としては、今まで家庭に入っていた女性、パートやアルバイトで年収103万円を超えないように働いていた女性が、もっと働くようになってほしいのです。
年収103万円なんて気にせず、もっとがっつり働いて、もっと社会に出て、もっと税金を納めてほしいのです。
税収を増やしていかないことには、この国の未来がなくなってしまいます。
私たち一般人も、ある程度は時代の変化を受け入れていかないといけません。
そもそも配偶者控除とは
改めてのおさらいとなりますが、配偶者控除というのは配偶者(多くの場合、奥さん)の年収が103万円以下の場合、課税対象者(多くの場合、旦那さん)の所得から38万円を控除する制度です。
細かく見ていくと、配偶者控除を適用するには年収以外にもいくつか条件があります。
- 民法の規定による配偶者であること。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
その年の年末時点で上記4点すべてを満たしている場合に配偶者控除が適用されることになっています。
妻が働いていて、旦那が専業主夫でも全く問題ありません。
配偶者特別控除はどうなる
配偶者控除と名前がそっくりの制度で、配偶者特別控除という制度もあります。
これは配偶者控除を受けられる年収103万円を超えてしまっても、段階的に控除金額を少なくしていく制度です。
以下の表の通り、年収が141万円を超えるまでは金額は小さくなっていくものの、控除を受けられることになっています。
収入 | 所得 | 控除額 |
---|---|---|
103万円~105万円未満 | 38万円~40万円未満 | 38万円 |
105万円~110万円未満 | 40万円~45万円未満 | 36万円 |
110万円~115万円未満 | 45万円~50万円未満 | 31万円 |
115万円~120万円未満 | 50万円~55万円未満 | 26万円 |
120万円~125万円未満 | 55万円~60万円未満 | 21万円 |
125万円~130万円未満 | 60万円~65万円未満 | 16万円 |
130万円~135万円未満 | 65万円~70万円未満 | 11万円 |
135万円~140万円未満 | 70万円~75万円未満 | 6万円 |
140万円~141万円未満 | 75万円~76万円未満 | 3万円 |
141万円以上 | 76万円以上 | 0円 |
配偶者控除が廃止された場合、配偶者特別控除がどのような扱いになるのか。
実はまだその点について、はっきりとした方向性が示されていないのです。
配偶者控除と共に廃止されるのか、形を変えて残るのか。今後の政府の動向に注目です。
新たに夫婦控除が創設される見込み
配偶者控除が廃止される代わりに、夫婦控除というものが創設される見込みです。
配偶者の年収を問わず控除が適用される内容になる、という話もありますが、こちらも具体的な内容はまだ何も示されていません。
控除の適用には年収制限が設けられる可能性があり、世帯年収800万~1000万円をめどにするという話があるそうです。
つまりたくさん稼いでいる世帯は、その分税金をたくさん支払ってねということです。
稼げば稼いだ分だけ、税金の徴収が増えていく。
誰だって税金の大切さは理解していますが、必死に働いて得たお金を何十万円も徴収されていくのは、やっぱり辛いものですよね。
夫婦控除についても、どのような内容になっていくのか、今後の政府の発表を注視していかないといけません。
税制の変化を見逃すべからず
今まで当たり前のように使われていた配偶者控除。
どのような形になるかは、まだはっきり見えてこないものの、廃止されることはほぼ間違いないようです。
時代はどんどん変化していきます。
政府も税収を増やすために必死です。
私たち一般人にできることは、政府の動向を注視しながら、変化に適用していくことしかありません。
配偶者控除に限らず、税制度はこれからも変化していくことでしょう。
正しい知識を持っておけば、税金を無駄に払いすぎることもなくなります。
私たちの生活に直接影響を与えることになりますので、変化を見逃さないようにしないとですね。